MINERVA世界史叢書
グローバル化の世界史 2
著:秋田 茂
内容紹介
グローバル化、すなわち世界の一体化はどのようにして起こり、世界史にどのような影響を及ぼしたのか。本書は、国境を超えたヒト・モノ・カネ・情報・文化の緊密な移動、その移動を通じた各種のネットワークの形成、その相互作用による経済・社会の変容過程を、19世紀以前にまで遡り長期の歴史的な視点から検討する。さらにグローバル化がもたらした人類史上の課題についても考察し、現代世界を取り巻く諸相を明らかにする。
目次
序 章 グローバル化の世界史(秋田 茂)
1 グローバル化の歴史的起源をめぐる論争
2 13~14世紀の「初期グローバル化」――世界帝国としてのモンゴル帝国
3 「大分岐」論争――長い18世紀の有効性、近世論の再考
4 アジア太平洋世界の再興――21世紀とポスト・コロニアルなグローバル化
5 本書の構成
第1章 モンゴル帝国とユーラシア広域ネットワーク(向 正樹)
1 ユーラシア世界の変動と広域ネットワーク
2 ユーラシア遠距離交易の律動
3 モンゴル帝国の拡大と構造変化
4 ユーラシア東西の結合
5 陸と海のポスト・モンゴル時代
第2章 16世紀「大航海」の時代とアジア(岡美穂子)
1 銀の世紀とイベリア半島
2 宗教と商業―ユダヤ人離散の影響
3 インド洋世界とポルトガル人
4 ポルトガルのインド洋「支配」
5 マラカ以東の海域
6 ポルトガルは「世界」の支配者になりえたのか
第3章 17世紀の全般的危機と東アジア(中島楽章)
1 14~15世紀の気候変動と東アジア
2 17世紀の全般的危機をめぐって
3 東アジアにおける17世紀の危機
4 17世紀東アジアの危機をめぐる論争
第4章 「長期の18世紀」の世界(島田竜登)
1 世界史における近世
2 オランダのアジア貿易
3 「長期の18世紀」の社会変化
4 「長期の18世紀」から新たな時代へ
第5章 19世紀「パクス・ブリタニカ」の世界(秋田 茂)
1 イギリス帝国とヘゲモニー、世界経済
2 工業化の進展と自由貿易――モノのグローバル化
3 帝国主義的な海外膨張――カネのグローバル化
4 移民と帝国――ヒトのグローバル化
5 イギリスの「ソフトパワー」――文化面でのグローバル化
第6章 近代帝国間体系のなかのロシア――ユーラシア国際秩序の変革に果たした役割(宇山智彦)
1 近代帝国ロシアの持つ世界史的意義
2 ロシア帝国の形成とヨーロッパ国際関係への参入
3 ユーラシア国際秩序の変革者として―アジアとバルカンへの関与
4 帝国の崩壊と遺産
第7章 「パクス・アメリカーナ」の世界(菅 英輝)
1 「模範国家」から「非公式帝国」へ
2 モンロー・ドクトリンから「門戸開放」ドクトリンへ――「閉ざされた地域主義」と「開かれたフロンティア」の追求
3 「パクス・アメリカーナ」の模索――「リベラル・プロジェクト」の挫折
4 「アメリカの世紀」の幕開けと「グローバル冷戦」――「リベラル・プロジェクト」の制度化
5 ブレトン・ウッズ体制の終焉と冷戦の変容――アメリカのヘゲモニー復活の模索
6 冷戦終焉後の世界における「リベラル・プロジェクト」再構築の試み
7 「自由主義的国際秩序」の危機――グローバル化のアポリア問題
第8章 中国と第三世界――脱植民地化に対する中国の取り組みの展開(翟 强[安井倫子訳])
1 アジアにおける冷戦と脱植民地化の交錯
2 アジアの戦後政治の変化
3 戦後アジアに立ち向かう中国共産党
4 中立諸国への接近
5 バンドン会議における周恩来
6 スエズ危機におけるエジプトとの連帯
7 第三世界の出現と中ソ協調
第9章 アジア太平洋の世紀(秋田 茂)
1 「アジア間貿易」の変容と日本帝国の遺産
2 日本・アジアNIESの経済成長と石油危機――1950~70年代
3 「東アジアの経済的再興」――1980年代以降
第10章 東アジアと結びつくアフリカ――21世紀(平野克己)
1 アフリカの20世紀
2 資源高の時代とアフリカ
3 中国のアフリカ攻勢
4 東アジアとアフリカの新しい関係
終 章 地球社会の行方と課題(秋田 茂)
1 貧困の克服と「南南問題」
2 地球環境問題と「持続可能な開発」
3 金融危機から地域統合へ
人名・事項索引
ISBN:9784623085958
。出版社:ミネルヴァ書房
。判型:A5
。ページ数:412ページ
。定価:5000円(本体)
。発行年月日:2019年03月
。発売日:2019年03月28日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHB。