刊行にあたって
序 章 ユーラシア近代帝国論へのいざない(宇山智彦)
1 ユーラシア近代帝国を論じる意義
2 帝国を見る視角と方法
3 ユーラシアという場における近代帝国
4 この巻の構成
第Ⅰ部 帝国と近代――相克と相乗
第1章 国民帝国の編成と空間学知の機能(山室信一)
――日本の帝国形成をめぐって
1 ユーラシア周縁帝国・日本の空間位相
2 ユーラシア地域大国への挑戦と挫折
3 競存体制における国際共有財としての空間学知
4 異法域結合における統治技法の遷移と統治人材の周流
5 空間の可視化と帝国空間の拡張
第2章 帝国とシャリーア(秋葉 淳)
――植民地イスラーム法制の比較と連関
1 帝国のシャリーア
2 歴史的シャリーア
3 シャリーアの「保護者」にして「改革者」
――ヨーロッパ諸帝国のムスリム統治
4 オスマン的シャリーア
――オスマン帝国における法制改革とシャリーア
5 オスマン的シャリーアと植民地的シャリーアの邂逅
第Ⅱ部 帝国と周縁――まなざしの交錯
第3章 帝国へのまなざし(守川知子)
――イラン国王,岩倉使節団,シャム国王とロシア・イギリス
1 「ヨーロッパを見聞する」
2 イラン国王の欧州旅行(1873年)
3 ヨーロッパを歴訪するアジアの君主・官僚
4 アジアの君主たちの見たヨーロッパ――君主制を中心に
5 君主制と「王室外交」のアジアとヨーロッパ
第4章 帝国とジェンダー(粟屋利江)
――アニー・ベサントを手掛かりに
1 神智学者アニー・ベサントとインド
2 白人女性と帝国
3 アニー・ベサントとインドとの邂逅
4 アニー・ベサントとインド女性
5 白人女性の帝国責任とフェミニズム
第5章 周縁から帝国への「招待」・抵抗・適応(宇山智彦)
――中央アジアの場合
1 帝国間競争と「周縁」――グレートゲーム論の見直し
2 ロシア・清朝の中央アジア進出における現地諸勢力の役割
3 帝国間の対抗関係の現地諸勢力による利用
4 異教徒支配の正当化の論理と抵抗・妨害
5 近代化・文化運動にとっての帝国の意義とアイロニー
第Ⅲ部 帝国の崩壊と世界秩序の再編
第6章 第1次世界大戦と帝国の遺産(池田嘉郎)
――自治とナショナリズム
1 帝国とナショナリズム
2 第1次大戦に先立つ時期の帝国と従属民族のナショナリズム
3 第1次大戦における帝国と従属民族のナショナリズム
4 帝国の崩壊と帝国の遺産
5 ユーラシアの境界領域における帝国の遺産
6 今日なお残る帝国の遺産
第7章 経済開発・工業化戦略と脱植民地化(秋田 茂)
――1940年代末~60年代中葉のインドと香港
1 アジア諸国の工業化戦略と脱植民地化
2 インドの脱植民地化とネルー政権による経済外交の展開
3 ソ連の「経済的攻勢」とインドの輸入代替工業化
4 香港の再植民地化と輸出志向型工業化
5 地域大国の形成と帝国支配の遺産,アジア国際秩序
第8章 「非公式帝国」アメリカとアジアの秩序形成(菅 英輝)
――1945~54年
1 アメリカの戦後秩序形成と分析視角
2 戦後アジア秩序の形成と蔣介石政権――挫折したヘゲモニー
3 吉田親米政権の樹立とアメリカのヘゲモニー支配
――「交渉されたヘゲモニー」
4 韓国のナショナリズムとアメリカのヘゲモニー
――強制されたヘゲモニー
5 「非公式帝国」アメリカとアジアのナショナリズム
第9章 「帝国」としての中国(川島 真)
――20世紀における冊封・朝貢認識と「中国」の境界
1 「帝国」の記憶と国権回収
2 ナショナリズムと過去の記憶
3 帝国主義とアジア主義
4 戦後中国における「帝国」の記憶――琉球・尖閣諸島を中心に
終 章 帝国・地域大国・小国(宇山智彦)
1 地域大国にとっての帝国/植民地経験と現在
2 帝国論から見る地域国際秩序
――東アジアと旧ソ連地域の特殊性の由来
3 グローバル化論・帝国論・小国論
人名索引/事項索引