ジャン・アメリーは1912年ユダヤ人の両親のもとウィーンで生まれた。1940年敵性外国人として逮捕され南仏の収容所へ。脱走、フランス縦断を経てブリュッセルでレジスタンスに参加。1943年再逮捕。拷問と独房、アウシュヴィッツ、ブーヘンヴァルト、ベルゲン=ベルゼン強制収容所を生き延びた人物である。解放後は文筆で身を立てながら長くホロコーストに触れることはなかったが、再び台頭する排外主義への危機感から本書を著した。「社会」が人間の尊厳を奪うとはどのようなことか。人は何によって人間であるのか。自らの体験を遡り、手探りするように綴られた省察の記録。
「なにはともあれ自分は一つの仕事をやりとげたように思うのだが、ともに人間でありたい人すべてのところに届いてくれることを願わないではいられない」(1966年)