叢書・ウニベルシタス 1129
ドレフュス事件
真実と伝説
著:アラン・パジェス
訳:吉田 典子
訳:高橋 愛
内容紹介
文書改竄、証拠捏造で、国家が真実を隠蔽し、冤罪を作り出す。「世論を真っ向から分断するような論争があるとき、人々が考えるのはドレフュス事件である」。「国家の重大事件とは、ある過ちが犯されて起こるのではない。関係する権力者がその過ちの存在を否定し、あらゆる手段を使って、その存在をもみ消そうとするときに起こる」と著者は言う。ジャーナリズム、知識人、作家、軍人、政治家が果たした役割から、人種差別の問題、文学や映画まで多角的に検証し、現在もなお参照すべき先例として時事問題に応じて絶えず立ち現れる《事件》の全貌を明らかにする。
目次
序
第1章 いくつかのドレフュス事件を区別するべきか?
第2章 告発には証拠があったのか?
第3章 筆跡鑑定は決定的な役割を果たしたのか?
第4章 ゾラの「私は告発する」はドレフュス事件をあますところなく語っているのか?
第5章 クレマンソーが「私は告発する」というタイトルを提案したのか?
第6章 フェリックス・フォールはエミール・ゾラの「私は告発する」を読んだのか?
第7章 ドレフュス派が請願書の形式を考え出したのか?
第8章 アルフレッド・ドレフュスは「ユダヤ組合」によって擁護されたのか?
第9章 エドゥアール・ドリュモンが反ユダヤ主義を発明したのか?
第10章 アルフレッド・ドレフュスは悪魔島で「保養」していたのか?
第11章 エステラジーは「ヴェールの女」に助けられたのか?
第12章 ドレフュス事件は新聞連載小説として体験されたのか?
第13章 ゾラとピカールはドレフュス事件の英雄だったのか?
第14章 ドレフュス派の社会参加は感情に基づいていたのか?
第15章 社会主義者たちはドレフュス派だったのか?
第16章 世論はアルフレッド・ドレフュスの立場を擁護したのか?
第17章 日刊紙は二つの陣営に分かれていたのか?
第18章 第四のドレフュス事件は存在したのか?
第19章 ドレフュス事件はカラス事件に似ているか?
第20章 ドレフュス派の人々は自分たちの闘いを語ることができたのか?
第21章 文学はドレフュス事件に関心を持ったか?
第22章 ドレフュス事件は映画にとって良い主題か?
第23章 ロマン・ポランスキーはどのようにドレフュス事件を表現したのか?
第24章 ドレフュス事件にはいまだに解かれていない謎があるか?
第25章 ゾラは自身の社会参加の犠牲者だったのか?
第26章 アルフレッド・ドレフュスの大義のために闘う必要があったのか?
謝辞
訳者あとがき
年譜
参考文献
索引