東アジアの王宮・王都と仏教
編:堀 裕
編:三上喜孝
編:吉田 歓
内容紹介
前近代東アジアにおける王宮・王都は、豊かな交流のあり様を示す多くの共通性がみられる一方、時期や地域によって注目すべき大きな相違が存在する。
これまで考古学や文献史学により、その諸相が明らかになってきてはいるが、宗教行事に関する比較研究は一部の行事を除けば立ち遅れている。
六世紀から十一世紀にかけての東アジアにおける王宮と王都の比較宗教史研究を通して、東アジア世界における、それぞれの「王権」の特色を示すことで、今後の研究を牽引する画期的な一書。
目次
はじめに 堀 裕
第一部 東アジア比較史のなかの倭・日本
東アジアの王宮正殿仏事と正統性 堀 裕
古代中国の都城と社 吉田 歓
宮都における盂蘭盆会の日中比較 内田敦士
考古学から見た古代東アジアの鎮護国家政策の展開と意義 佐川正敏
日本古代の仏都と仏都圏 吉川真司
第二部 百済・新羅と東アジアの王宮仏事
百済・新羅の王宮と寺院 李炳鎬(金玄耿訳)
観音信仰、百済から日本へ―『観世音応験記』を出発点として 三上喜孝
東アジア王宮内仏教施設の比較研究―南朝・百済・倭を中心に 堀 裕
七世紀における倭国の苑地と東アジア―須弥山・呉橋・猿石の思想的背景 仁藤敦史
新羅の月池宮と拝仏・祭祀 田中俊明
新羅東宮の性格に関する一考察 金銀貞
新羅四天王寺の緑釉遺物と「琉璃水波形塼」 金銀貞(金東河訳)
第三部 「宗教の時代」のおわりと東部ユーラシアの王宮仏事
「天書」と「舎利」―宋代宮廷美術における宗教文物の否定性と意味の変遷 塚本麿充
高麗王室の祖先崇拝と仏教・儒教―真殿寺院・景霊殿と御容に関する考察を中心に 豊島悠果
盧舎那仏と栴檀釈迦瑞像―北宋・遼と日本の仏身論をめぐって 長岡龍作
契丹の都城・宮廷と仏教 藤原崇人
元の大都における宗教行事をめぐる基礎的考察 渡辺健哉
あとがき 三上喜孝・吉田 歓
執筆者紹介