国宝「三十帖冊子」 修理から見えてきたもの
監:総本山仁和寺
編:宇都宮啓吾
内容紹介
最新の仏教学を学ぶために唐に渡った弘法大師空海が、当地の仏教経典・儀軌類を書写し、日本に随身秘蔵してきた冊子本、国宝「三十帖冊子」。
第六世守覚法親王の時代より京都・仁和寺にて尊ばれ、伝持されてきた同書は、空海の入唐中の学問のありかたを伝える密教将来の至宝として、また、空海や橘逸勢ほか、多くの唐の写経生がその書写に関わり、かつ冊子のかたちとして最も古い装訂とされる粘葉装(でっちょうそう)の日本最古の例として、文化財としても特筆すべき意義を有している。
国宝「三十帖冊子」は、どのように守られ、伝えられてきたのか。
6か年の歳月をかけて行われた修理の全容と、それによって見えてきた新知見を多くのカラー図版とともに紹介。
さらには、「三十帖冊子」の伝来と流転、奈良朝経典訓読や漢籍訓読の諸問題、空海の学問と書、高解像度デジタル顕微鏡による料紙分析と写本学とのコラボレーション、文化財修理のこれまでとこれから等、多角的な観点から「三十帖冊子」を把捉する決定版。
掲載図版300点超!
目次
刊行にあたって 総本山仁和寺門跡真言宗御室派管長 瀬川大秀
序言―本書の概要 宇都宮啓吾
【第一部】修理・書誌篇
国宝『三十帖冊子』修理報告―修理の概要と調査報告 株式会社松鶴堂
「三十帖冊子」の修理を振り返って 株式会社松鶴堂(書跡担当課 森川洋子)
「三十帖冊子」の料紙に残された痕跡の伝えるもの―保存修理の視点から 鈴木裕
装訂や料紙から見た国宝「三十帖冊子」 赤尾栄慶
コラム 空海の書―唐からの贈り物 鍋島稲子
「三十帖冊子」を飾る染織品 山川曉
料紙を観る―写本学と光学的調査からのアプローチ 石塚晴通・赤尾栄慶・江南和幸・岡田至弘
コラム 金剛寺蔵『梵漢普賢行願讃』について―文化財情報のプラットフォーム 宇都宮啓吾
【第二部】典籍篇
「三十帖策子」の借覧と返納をめぐって 武内孝善
「三十帖冊子」の仁和寺移動と仁和寺伝持の歴史 朝川美幸
空海将来経論の書写をめぐって―「三十帖冊子」に関連して 苫米地誠一
仁和寺蔵「三十帖冊子」の訓点から観た漢籍訓読の一問題 宇都宮啓吾
典籍保存修理の歩み―昭和から令和へ 鈴木裕
後記 宇都宮啓吾
執筆者紹介
ISBN:9784585310129
。出版社:勉誠社
。判型:A5
。ページ数:336ページ
。定価:12000円(本体)
。発行年月日:2023年11月
。発売日:2023年11月30日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRFB。