人を愛すること、想うことは、どこまで透明でありうるだろうか。▼構想7年――志摩半島を舞台に、代表作『海猫』以来、海に生きる人たちに取材した傑作長編。▼▼幼い頃に母を亡くし、大海女と呼ばれた祖母のもとで志摩の漁村に育った野井山孝子は、その地に生まれた女の宿命として、高校卒業後は海女となるはずだった。しかし、神主となるべく修行を積む白川武雄との邂逅によって、ふたりの透明な魂は響きあい、孝子は定められた生き方と、ひとりの女性としての目覚めの狭間で揺れうごく。▼己の体ひとつで海の底から生きる糧を獲る少女と、伊勢神宮の伝統ある志摩の神社の跡取りの青年とが出会ったとき、運命はふたりを思いもかけぬ方向へと導いていく――。▼志摩の美しい自然の中で紡がれる、あまりにも清らかで切ない恋愛小説。