2005年4月25日に起こった、JR福知山線脱線転覆事故。100名以上の尊い命が奪われた、決して繰り返してはならない大惨事である。本書の著者、鈴木もも子さんの次女・順子さんは、この列車の二両目に乗り合わせ、押しつぶされ滅茶苦茶になった車内から、事故発生後5時間を経て救出された。病院への搬送中に心肺停止に陥り、医師から、「脳が、弁当箱に豆腐を入れてシェイクした状態」「命は助かったとしても、どのような生存状態かは全く予想できない」と言い渡される程の重症を負う。本書には、その順子さんが、「高次脳機能障害」を残しながらも、周囲からは信じがたいほどの回復をしていく劇的な過程が描かれる。それとともに、事故当時、およびそれ以前から危うげであった鈴木家の家族の絆が、しっかりと結びなおされてゆく様子も、もも子さんの率直な筆によって告白されている。