15世紀初頭、中国から東南アジア、インド、中東を越え、遥かアフリカにまで及ぶ大航海を指揮した男がいた――。その名は鄭和。▼元朝の影響下にあった雲南省でイスラム教徒の家に生まれた鄭和は、幼少時に明軍の侵攻で捕虜となり、宦官として生きることを余儀なくされる。その後、数奇な運命を辿って明の永楽帝に仕えるが、幾多の軍功を挙げて宦官の最高位に大抜擢された。▼そんな鄭和に突如、永楽帝から“南海大遠征”の命が下る。明の威信を四海に広めるべく、200隻の大艦隊と2万8千人の総員を率いた鄭和は、1405年に史上空前の第一次航海に旅立つ。▼その後、生涯で大艦隊を指揮すること実に7回。鄭和の航跡はアフリカの喜望峰を越えて、コロンブスより60年早くアメリカ大陸の発見にまで達したという。▼従来の通説を覆し、いま世界的に再評価されつつある鄭和。西欧に先駆けて中国の大航海時代を招来した伝説の英雄を描く!▼文庫書き下ろし。