泰平の世が終わりを告げた幕末、京都がにわかに政争の中心へと一変した!▼尊皇、攘夷、佐幕、開国と、それぞれの志を抱いて動乱に身を投じた男たちが集まり、血生臭い闘争の舞台と化した京洛の地。そこで起こった事件を描く七つの短篇小説を、本書は収録している。▼薩摩藩士たちが激しい斬り合いを演じた寺田屋騒動を綴る「寺田屋の散華」(津本陽)。▼急進尊攘派の公家・姉小路公知が謎の刺客に殺害された事件を追いかける「猿ケ辻風聞」(滝口康彦)。▼時代を倒幕へと大きく転換させた孝明天皇崩御と岩倉具視の赤心を描いた「孝明天皇の死」(安部龍太郎)。▼このほか、桂小五郎に光をあてた「京洛の風雲」(南條範夫)、新撰組の近藤勇を狙う罠を描いた「勇の腰痛」(火坂雅志)、坂本龍馬暗殺を取り上げた「龍(りょう)」(綱淵謙錠)、「錦旗」の製織をめぐる舞台裏を描いた「不義の御旗」(澤田ふじ子)と、いずれも読み応え十分の力作ぞろいの時代小説アンソロジーである。