「靖国参拝」を巡る論議が白熱する中で、「A級戦犯」の「戦争責任」をどう考えるべきかという問題関心が高まりつつある。しかし、残念なことに、マスコミの報道や政治家の発言は、無知蒙昧で粗雑な議論に終始することが多い。本書は、『「文明の裁き」をこえて―対日戦犯裁判読解の試み』で第10回山本七平賞を受賞した著者が、不毛な議論に終止符を打つべく放つ、渾身の論考である。▼「歴史解釈は倫理をふりかざしての過去の裁断ではなく、論理を駆使しての過去の再構築である」。著者はこう語り、史料を精緻に読み解くことにより、問題の本質に迫っていく。戦争責任を検証するとはいかなることなのか。「A級戦犯」たちは敗戦責任を回避したのか。「責任」を引き受けた人、考えた人の苦悩と決意とは。「パル判決」とは何だったのか。そして、南方の裁判で散ったある学徒兵戦犯について……。▼問題の本質が明解に浮かび上がる、いまこそ読まれるべき書。