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社会のなかのコモンズ

公共性を超えて

編著:待鳥 聡史
編著:宇野 重規

紙版

内容紹介

ともに生きる、新たな方法

 東日本大震災以降、以前にも増して「コモンズ」という言葉を聞く機会が増えてきた。人口が減少し低成長を余儀なくする時代に、なぜこの概念が脚光を浴びることになったのか? 日本の社会科学を牽引する論客が回答を与えようとしたのが本書である。
 「コモンズ」が人口に膾炙するきっかけとなったのは、ギャレット・ハーディンの「コモンズ(共有地)の悲劇」論文(1968年)だった。
 本書では、1990年代に流行った「公共性」論、さらにはリベラリズム・コミュニタリアニズム・リバタリアニズムといった思潮を再考しながら、この概念を彫琢するとともに、いかなる場でこの概念が有効か検証していく。
 大正日本の「社会」への眼差し、まちおこしが大きな課題となっている商店街、持ち家社会で周縁化した戦後日本の公営住宅、豊かさから取り残されたカナダのインディアン保留地、利益分配が出来なくなった政党、時空を超越する宇宙・サイバー空間、移民危機に揺れる欧州国民国家──。
 そこで浮かび上がってくるのは、「公」か「私」かではなく、「公」と「私」をいかに媒介する論理を見つけだすかである。これまでの公共性論の視界に入らなかったものは何なのか? 2020年代の「公私」論の決定版。

著者略歴

編著:待鳥 聡史
【待鳥聡史】京都大学大学院法学研究科教授。『首相政治の制度分析』(千倉書房)でサントリー学芸賞。【宇野重規】東京大学社会科学研究所教授。『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社)でサントリー学芸賞。

ISBN:9784560096611
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:240ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2019年01月
発売日:2019年01月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB