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ちくま文庫 む-7-4

むしろ幻想が明快なのである

虫明亜呂無レトロスペクティブ

著:虫明亜呂無
著:高崎 俊夫

紙版

内容紹介

三島由紀夫、寺山修司、大島?も絶賛した伝説の作家。
映画、音楽、スポーツなどをめぐる珠玉のエッセイコレクション。生誕100年! 

かなうことなら、この人の遺した文章をすべて読み尽くしたい――小西康陽

スポーツ評論をはじめ、映画、音楽、文芸など幅広いジャンルをテーマに上質で官能的な文章を書いた異才、虫明亜呂無。戦前の職業野球への追想、岩下志麻や太地喜和子の軽妙なスケッチ、栄光と悲劇のランナー円谷幸吉・人見絹枝の美しいポルトレ、荒井由実やエゴン・シーレや『ベルばら』などを軽妙に取り上げるコラム、巨匠内田吐夢監督の撮影現場レポート……単行本未収録作や代表作から精選した珠玉のエッセイコレクション。

目次

Ⅰ 女王と牢獄
女王と牢獄
春は目黒
北斗七星
言葉の背後に感じる〝女?――太地喜和子さん
貧乏時代に励ましてくれた恩人――三田佳子さん
飛行機が揺れるから歩かないで!?――岩下志麻さん
かわいそうだから挿絵描いてあげる――石岡瑛子さん
メダルより一つの微笑みが欲しくて……――木原光知子さん
春のにおい 

Ⅱ 芝生の上のレモン――スポーツへの誘惑
名選手の系譜――野球について
芝生の上のレモン――サッカーについて

Ⅲ 朽ちぬ冠――長距離走者の孤独
大理石の碑
朽ちぬ冠――長距離走者・円谷幸吉の短い生涯 

Ⅳ 佐渡に鬼を見た――コラム「うえんずでい・らぶ」抄
唐十郎はタイ式ボクシングだ
佐渡に鬼を見た
原辰徳は笛吹童子
女への誤解
『ベルばら』の原点
続『ベルばら』論 女の意気地
〝花?の映画2題
これは大傑作『カッコーの巣の上で』
野望の軌跡――ポール・マザースキー監督『グリニッチ・ビレッジの青春』
怪物は死んだが……――『キングコング』のギラーミン監督
都はるみが見事に歌い上げた二つの女心
『アニー・ホール』と3冊の本
小説的な『フェイク』
映画〝ボーヴォワール?
W・アレンの短編小説
渡辺貞夫さんに尊敬の念
〝奇怪な時代?への予感

Ⅴ シーレの女――「ときには馬から離れますが」「虫明亜呂無の音楽エッセイ」抄
冬晴れの日
シーレの女
ふたりの少女
八月十五日をめぐって
セクシュアルなやくざたち
風景と音楽
響き、音色そして色彩
生命のリズム
音楽のもつドラマ性

Ⅵ 殺陣の倫理――「映画評論」の時代 
殺陣の倫理――『宮本武蔵一条寺の決斗』ロケから
カメラの向こう側に真実を――『飢餓海峡』と内田吐夢監督
『自動車泥棒』と和田嘉訓
仁?映画はなぜ栄えるのか
アメリカ映画の女たち
乾草
むしろ幻想が明快なのである――ジョセフ・ロージー『恋』
女は誇りをもって過去を語る

編者あとがき  高崎俊夫

著者略歴

著:虫明亜呂無
虫明亜呂無(むしあけ・あろむ):1923年、東京生まれ。作家、評論家。早稲田大学文学部仏文科卒。小説、文芸批評、映画評論、スポーツ評論、競馬エッセイ、恋愛論、映画脚本など多彩な分野で旺盛な執筆活動を行う。91年に逝去。著書に『スポーツへの誘惑』(珊瑚書房)、『シャガールの馬』(講談社)、『ロマンチック街道』(話の特集)。玉木正之編『虫明亜呂無の本』全三巻(筑摩書房)など。没後に編まれた『女の足指と電話機──回想の女優たち』『仮面の女と愛の輪廻』(清流出版)によって、透徹な美意識を持つ名エッセイストとして再評価が進んでいる。
著:高崎 俊夫
高崎俊夫(たかさき・としお):1954年福島県生まれ。「スターログ日本版」「月刊イメージフォーラム」「一枚の繪」「AVストア」編集部等を経て、フリーランスの編集者・映画評論家。編集した書籍に『ものみな映画で終わる――花田清輝映画論集』(清流出版)、『テレビの青春』(今野勉・NTT出版)、『ニセ札つかいの手記――武田泰淳異色短篇集』(中公文庫)、『親しい友人たち――山川方夫ミステリ傑作選』(創元推理文庫)、『インディペンデントの栄光――ユーロスペースから世界へ』(堀越謙三・筑摩書房)ほか多数。著書に『祝祭の日々――私の映画アトランダム』(国書刊行会)がある。

ISBN:9784480438966
出版社:筑摩書房
判型:文庫
ページ数:416ページ
定価:1100円(本体)
発行年月日:2023年07月
発売日:2023年07月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB