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廃プラスチックの現在と未来

持続可能な社会におけるプラスチック資源循環

編:日本エネルギー学会

紙版

内容紹介

 プラスチックは透明性や耐水性が高く,軽量で様々な形に加工でき,丈夫で腐食しないといった優れた特性を持つ素材であるため,様々な分野で使用され,私たちの生活に不可欠なものとなっている。一方で,耐久性・分離困難性があるにも関わらず,種類によっては安価であるため,短期間で使い捨てられ,大量の廃棄物となり多くの環境問題を引き起こしてきた。さらに,海洋プラスチックごみ問題がグローバルな環境問題として注目されており,これを受け,プラスチック資源循環問題に拡大するとともに日本の政策重点がシフトしている。
 本書は,近年世界的に注目される廃プラスチック問題について,国内外で具体的にどのような問題が生じているのか,またそれらに対してどのような取り組みがなされているのかを,資源循環社会,法制度,技術的対応といった観点からまとめ,科学的な根拠とともに紹介する。
 本書が廃プラスチック問題の現状を正しく理解し,将来にわたり私たちがプラスチックを賢く利用していくための一助となれば幸いである。

【読者対象】
廃プラスチック問題に関わる研究者・技術者,NPO等市民団体や行政の担当者

目次

1. 廃プラスチックに関わる諸問題
1.1 循環経済論から見たプラスチック問題
 1.1.1 はじめに
 1.1.2 循環経済とは何か
 1.1.3 生産物連鎖制御
 1.1.4 プラスチック資源利用の問題
 1.1.5 プラスチック資源循環促進法の成立
 1.1.6 プラスチック資源の高度な循環利用におけるソフトローの役割
 1.1.7 ダイナミックな生産物連鎖制御に向けて
1.2 3Rプラスとライフサイクルから見たプラスチック素材
 1.2.1 プラスチック素材の定義と環境持続性の考え方
 1.2.2 廃棄物対策や資源持続性の観点から考える3Rプラス原則
 1.2.3 プラスチック素材のライフサイクルから見た抑制の重要性
 1.2.4 さまざまな環境負荷抑制と両立するプラスチック素材循環
1.3 プラスチック資源循環と脱炭素社会
 1.3.1 気候変動と脱炭素社会
 1.3.2 化石資源の利用と温室効果ガスの排出
 1.3.3 プラスチックのライフサイクルと炭素排出
 1.3.4 廃棄物分野からのCO2排出とプラスチック
 1.3.5 バイオマス原燃料への転換と脱炭素社会
 1.3.6 廃プラスチックとCCS,CCU
 1.3.7 脱炭素社会におけるプラスチック中の炭素の将来展望
1.4 海洋プラスチック問題の現状
 1.4.1 はじめに
 1.4.2 海洋プラスチックごみの発生
 1.4.3 海洋プラスチックごみの現状
 1.4.4 おわりに
引用・参考文献
2. プラスチックのマテリアルフロー
2.1 諸外国におけるマテリアルフロー
 2.1.1 世界全体のプラスチックのマテリアルフロー
 2.1.2 欧州委員会によるプラスチックのマテリアルフロー
 2.1.3 欧州の業界団体によるプラスチックのマテリアルフロー
 2.1.4 米国環境保護庁によるプラスチックのマテリアルフロー
 2.1.5 諸外国におけるプラスチックのマテリアルフローの研究事例
2.2 日本におけるマテリアルフロー
 2.2.1 はじめに
 2.2.2 プラスチックのリサイクルについて
 2.2.3 プラスチックの生産から処理処分の状況
 2.2.4 LCAとLCA手法を使った分析例
 2.2.5 おわりに
引用・参考文献
3. 廃プラスチックに関わる国内外の動向
3.1 国際的な動向
 3.1.1 アジアを中心とした法規制の動き
 3.1.2 中国の輸入禁止
 3.1.3 欧州の法制度
3.2 日本の法制度
 3.2.1 容器包装リサイクル法
 3.2.2 家電リサイクル法
3.3 日本の取組み
 3.3.1 リデュース・リユースの取組み
 3.3.2 リサイクルの取組み
引用・参考文献
4. 廃プラスチックのリサイクル技術
4.1 マテリアルリサイクルへの取組み
 4.1.1 マテリアルリサイクルとは
 4.1.2 選別技術(ソーティングセンター)
 4.1.3 プラスチック容器の再商品化
4.2 ケミカルリサイクルの現状
 4.2.1 油化プロセス(HiCOPプロセス)
 4.2.2 高炉還元材化
 4.2.3 コークス炉化学原料化
 4.2.4 ガス化
4.3 エネルギー回収の現状
 4.3.1 廃プラスチックのエネルギー利用
 4.3.2 廃棄物エネルギー利用の高度化と展望
4.4 難処理プラスチックの資源化
 4.4.1 炭素繊維強化プラスチックからの炭素繊維の回収
 4.4.2 湿式脱ハロゲン処理とその研究展開
引用・参考文献
5. 次世代プラスチックの開発動向
5.1 バイオマスプラスチックの普及動向
 5.1.1 はじめに
 5.1.2 バイオマスプラスチック概説
 5.1.3 バイオエラストマー
 5.1.4 植物油脂ポリマー
 5.1.5 おわりに
5.2 生分解性プラスチックの開発
 5.2.1 はじめに
 5.2.2 生分解性プラスチックとは
 5.2.3 生分解性評価
 5.2.4 土中生分解性とコンポスト生分解性
 5.2.5 環境生分解性(BOD生分解性試験)
 5.2.6 酵素分解性
 5.2.7 生分解性プラスチックの課題と今後求められること
 5.2.8 おわりに
引用・参考文献
6. プラスチックリサイクルとLCA
6.1 LCAの意義と経緯・動向
 6.1.1 ライフサイクル思考(ゆりかごから墓場まで)の重要性
 6.1.2 LCAの国際標準規格
 6.1.3 LCAの普及
 6.1.4 近年の動向
6.2 LCAによるリサイクルの評価方法
 6.2.1 LCAの一般的方法
 6.2.2 LCAにおける比較の考え方
 6.2.3 リサイクルのLCAの一般的方法
 6.2.4 リサイクルの評価の問題点
 6.2.5 幸せ同等の原則によるプラスチックリサイクルのLCA
6.3 プラスチックリサイクルの評価事例
 6.3.1 評価事例①:PETボトルのリサイクル
 6.3.2 評価事例②:プラスチック製容器包装のリサイクル
 6.3.3 評価事例から得られる示唆
引用・参考文献
7. わが国のプラスチックリサイクルの将来展望
7.1 はじめに
7.2 国際的な技術開発動向
7.3 日本の技術開発動向
7.4 バイオプラスチック
 7.4.1 バイオマスプラスチックの種類
 7.4.2 バイオプラスチックの生産量
 7.4.3 バイオプラスチックの技術開発動向
7.5 炭素循環としてのケミカルリサイクルの位置づけ
7.6 まとめ
引用・参考文献
あとがき
索引

ISBN:9784339066647
出版社:コロナ社
判型:A5
ページ数:334ページ
定価:5100円(本体)
発行年月日:2023年01月
発売日:2023年01月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PNNP
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:TDC