ナチ 本の略奪
著:アンデシュ・リデル
訳:北條 文緒
訳:小林 祐子
内容紹介
ナチが略奪したのは美術品だけではなかった。世界を思想的にも制覇しようという彼らの野望にとって、厖大な量の本や資料を略奪し、それを用いて「敵」を研究し尽くすことが、不可欠な手段だった。
ナチは野蛮な知の破壊者ではなかった。「敵」を知るために厖大な本や資料を読み尽くし、それを利用し歪曲して、ナチの視点から世界史を書き換えるという壮大な目論みが、本の略奪の動機だった。
戦争末期の混乱のなかで、ナチが略奪した大量の本は失われ、叢書やコレクションは四散した。戦後ソ連に運ばれたまま戻らぬ本も多い。ドイツの多くの図書館は、失われた叢書を補填すべく、出所を確かめぬまま略奪本を受け入れた。今世紀、そのような略奪本を洗い出し、もとの所有者やその子孫に返還する運動が進行中である。
著者はヨーロッパ各地を訪れ、本の略奪、蔵書の消滅や四散、そして返還の現在を、新資料とともに検証する。
スウェーデン「Foundation Bengt Janson's Memorial Fund Prize 2018」受賞作品。
このような歴史は、今なおわれわれを驚愕させる。研究者たちが新たな問題を掘り起こし、新たな手がかりを辿ると、初めて明るみに出る事実が今なお存在する。(シカゴ・トリビューン紙)
思想史、探偵小説、略奪本返還運動の記録が渾然一体となったこの本は、読者の興味をかきたてずにはおかない。 (ロサンジェルス・レビュー・オブ・ブックス)
目次
序章
第1章 世界を焼き尽くす炎
第2章 ベルリン市立図書館の亡霊たち
第3章 ゲーテの槲
第4章 ヒムラーの蒐書
第5章 エルサレムと闘う戦士
第6章 イスラエルの苦難への慰撫
第7章 フリーメイソンの秘密の追跡
第8章 レーニンがここにいた
第9章 蔵書の消失
第10章 民族の破片
第11章 製紙工場は本の墓地
第12章 タルムード軍団
第13章 ユダヤ人不在のユダヤ研究
第14章 荷馬車一杯の靴
第15章 本は家路を辿る
謝辞
訳者あとがき
参考文献
索引
ISBN:9784336063212
。出版社:国書刊行会
。判型:A5
。ページ数:436ページ
。定価:3200円(本体)
。発行年月日:2019年07月
。発売日:2019年07月16日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:GLK。