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アクションを起こそう

女性、宗教、暴力、権力

著:ジミー・カーター
他訳:伊藤 淑子
他訳:千年 よしみ

紙版

内容紹介

1977年から1981年まで第39代アメリカ大統領を務めたジミー・カーターが、退任後の活動を振り返り、人権擁護の観点から、女性の権利の推進に向けて、「いま、アクションを起こそう」と世界に呼びかける。すべての人の権利が守られる社会の構築を目指すカーターの信念は揺るぎない。カーターにとって、キリスト教はあらゆる判断の規準である。信仰はカーターの力である。同時に、あらゆる信仰、価値観、習慣にも敬意をもって接し、寛容な理解を示す。カーターが鋭い批判を向けるのは、伝統という名目のもとに行われる理不尽な差別、暴力である。暴力にさらされるのは、圧倒的に女性や幼い女の子であるという現実を前に、カーターは、言われなき虐待の犠牲になる女性たちの代弁者になる。女性であるということによって、教育も受けられず、情報からも疎外され、あらゆる決定権を奪われて生きなければならない女性たちのために、カーターは地球規模の社会変革を訴える。
カーターは人権の推進のために、自分の知名度と世界に広がるネットワークを活用してきた。それが力を有する者の責任であると強く信じている。おりしもアメリカ大統領選挙のニュースが、世界の注目を集めている。アメリカ大統領が選ばれるまでの長い時間と、そこに注がれる莫大なエネルギーが、アメリカ大統領の責任の重みでもある。カーターは大統領の任務を果たしたあとも、さらに固い信念と開かれたリベラリズムで、女性の権利を擁護する活動に取り組んでいる。
カーターは希望を語る。一朝一夕に世界が変わるわけではなく、女性が踏みにじられ犠牲になる環境が、発展途上国にも、アメリカにもあることに対するカーターの嘆きは深いが、女性たちのリーダーシップが発揮され、女性どうしの連携がその地域全体の生活の向上につながった数多くの成功例が、カーターの信念を支える。意見の分かれる問題も含まれるにもかかわらず、本書が共感を呼ぶのは、あらゆる人に対する敬意をカーターが忘れないからだろう。良心とは何か、という問いに対する一つの答えが、本書にある。

目次

第1章 私の子ども時代 
第2章 平和と女性の権利への献身 
第3章 聖書と男女平等 
第4章 満員の刑務所と合法的な殺人 
第5章 性的暴行とレイプ 
第6章 暴力と戦争 
第7章 旅行者として観察したこと 
第8章 女性とカーターセンター 
第9章 人権のヒーローから学ぶこと
第10章 女児殺し 
第11章 レイプ 
第12章 奴隷と売春 
第13章 配偶者虐待 
第14章 「名誉」の殺人 
第15章 女性器切除 
第16章 幼児婚とダウリー(持参金)殺人 
第17章 政治、収入、そして母性の健康 
第18章 進歩への道 

著者略歴

著:ジミー・カーター
第39代アメリカ合衆国大統領(1977〜1981年)。
1982年に妻と共に、世界中の人々の生活と人生をよりよいものにすることを目的とする「カータセンター」を設立。2002年にノーベル平和賞を受賞。
著作多数。現在、米国ジョージア州プレーンス在住。

他訳:伊藤 淑子
大正大学文学部教授
著書:『家族の幻影』(大正大学出版会、2004)、『史料で読むアメリカ文化史』(共著、東大出版会、2005)、『「アンクル・トムの小屋」を読む』(共著、彩流社、2007)、『アメリカ文学にみる女性改革者たち』(共著、彩流社、2010)、『ファンタジー、空想の比較文化』(新水社、2014)
訳書:マーガレット・フラー『19世紀の女性』(新水社、2013)
他訳:千年 よしみ
ペンシルバニア州立大学大学院農業経済学・農村社会学研究科農村社会学・人口学博士課程修了(Ph.D)。
現職 国立社会保障・人口問題研究所国際関係部室長。
専門 社会人口学(主な関心領域:国際移動、家族)

ISBN:9784336060075
出版社:国書刊行会
判型:4-6
ページ数:276ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2016年06月
発売日:2016年06月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBS