ユダヤ神秘主義、スーフィズム、新プラトン主義などが混沌たる〈知〉の坩堝を作っていた13世紀スペインで、
天啓博士ライムンドゥス・ルルスの「結合術」〈アルス・コンビナトリア〉は誕生した……
9個のアルファベットの組み合わせで宇宙という巨大な〈書物〉を解読せんとしたルルスの思想は、
ギリシャ・ローマ以来の「記憶術」、さらにヘルメス・カバラの魔術的伝統と混交しながらルネサンス、
宗教改革以降のヨーロッパ思想に甚深な影響を与え続けてきた。
本書は今日まったく顧みられることのないこの「結合術」の系譜を資料に即して解明、
ブルーノ、ベーコン、デカルト、コメニウス、ライプニッツ等を通し百科全書思想、世界劇場構想、
薔薇十字運動、普遍言語構想などを生み出してゆく経緯を解明する、驚異と知的興奮に満ちた思想・科学史研究の名著である。