久伊豆神社小教院叢書 12
国家神道と国体論
宗教とナショナリズムの学際的研究
編:藤田 大誠
内容紹介
宗教とナショナリズムをめぐる「知」の再検討
「国家神道」研究と「国体論」研究は、いずれも近代日本の宗教とナショナリズムに関わる重要な主題にもかかわらず、意外なことに深い交渉を持たないまま別個に展開してきました。その溝を埋め、両主題の研究成果を意識的に接続して新機軸を打ち出す気鋭の論者によって国家神道・国体論の新時代を告げる論集です。
目次
藤田大誠 国家神道と国体論に関する学際的研究序説
第一部 国家・神社・神道
河村忠伸 「国家ノ宗祀」の制度と精神
斎藤智朗 近代における造化三神論の展開
畔上直樹 日露戦後の神社中心主義政策と戦前日本の神社観――「神社―ネオ国教」試論――
青井哲人 19世紀建築論と明治天皇奉斎――表象・趣味・ナショナリズム――
平山 昇 実業家と伊勢神宮参拝に関する一試論
藤本頼生 戦前期における官社宮司のキャリア形成――藤巻正之の事績を手掛かりとして――
柏木亨介 国立ハンセン病療養所の神社創建――国家権力下のムラ氏神――
第二部 国民・教育・宗教
井上兼一 近代日本の初等教育における政教分離原則とその緩和
高橋典史 昭和戦前期の仏教界と海外日系二世――見学団、日本留学、修学団に注目して――
寺田喜朗 戦前期における谷口雅春の国体言説――国体明徴運動の影響をめぐって――
小島伸之 昭和10年の消防招魂祭
福島幸宏 「西の靖國」の創建――地域神社の戦時期――
菅 浩二 靖國神社と「福祉国家」――方法的序論――
田中 悟 国立墓地群を通して見る韓国ネイション内部の「亀裂」について
第三部 国体・思想・学問
西田彰一 筧克彦の思想と活動――国体論との関わりに注目して――
高野裕基 河野省三の学問と思想――神社を背景とした国体論――
昆野伸幸 近代神道と「八紘一宇」――二荒芳徳の「八紘為宇」論を中心に――
宮本誉士 井上孚麿の新体制批判と天皇親政論
金子宗德 里見岸雄と「国体明徴」――「天皇機関説の検討」から《日本国体学会》の設立へ――
小川原正道 国体明徴運動と憲法学者
山口輝臣 「国家神道」と「国体」のあいだにて