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ドイツ公法史入門

著:ミヒャエル・シュトライス
訳:福岡 安都子

紙版

内容紹介

「公法史」という学問領域の存立意義を世界に知らしめた名著『ドイツ公法史』全4巻。著者自身がその精髄をまとめた入門書。

法治国家、権力分立、国民主権……ドイツ人は国家についてどう思索してきたのか。「公法についての学問史」という視点の下、神聖ローマ帝国からヴァイマル時代を経て東西分断・再統一まで、数世紀にわたる憲法――国のかたち――を巡る学問の歴史を、行政法や社会保障、国際法・EU法などと連携させつつ描く、ドイツ公法史の金字塔。
【原著】Michael Stolleis, Offentliches Recht in Deutschland:Eine Einfuhrung in seine Geschichte, 16. - 21. Jahrhundert(C・H・Beck, 2014)

目次

序 文

第1章 イントロダクション,対象,方法
 1.歴史の対象としての法
 2.ユース・プーブリクムIus publicum――公法
 3.学問史
 4.方法論についてのアドバイスと参考書籍

第2章 ローマ法からの解放――国制法(フェアファッスングスレヒト)の法源論の変遷
 1.出発点としてのローマ法
 2.新たな時代環境
 3.新たな国制法

第3章 揺籃期公法学の諸潮流
 1.「政治学」
 2.国内に法源を求めて

第4章 帝国公法学,自然法,国際法,「良きポリツァイ」
 1.帝国公法学
 2.自然法と国際法
 3.自然法(自然と万民の法Ius naturae et gentium)
 4.良きポリツァイ
 5.小括

第5章 革命と王政復古の間の公法
 1.政治世界の大変革
 2.ドイツ同盟
 3.ドイツ一般国法
 4.領邦(ラント)の国法及び行政法

第6章 パウル教会

第7章 帝国国法学
 1.法治国家と法的方法
 2.一般国家学

第8章 初期産業社会の国家における行政法
 1.パースペクティブの転換
 2.代表的な行政法学者たち

第9章 ヴァイマル憲法の下での国法学・行政法学
 1.「国民主権」始動の時代
 2.国法学の役割
 3.ヴェルサイユ条約と国内統一

第10章 方法論争と一般国家学の諸流派
 1.揺らぐ土台
 2.ウィーン学派
 3.方法論争,あるいは路線の対立
 4.学派形成
 5.代表的著作

第11章 ヴァイマル共和国時代の行政法
 1.継続と変容
 2.州の行政法
 3.概説書類
 4.介入国家化にともなう対象の拡大

第12章 ナチス国家とその公法
 1.権力委譲
 2.精神的断頭
 3.学術誌
 4.緊急時「憲法」の構成
 5.中心的な論争点
 6.国際法
 7.行政法と行政学
 8.「生存配慮」及び総括

第13章 ドイツの法的地位,再建,二つの国家
 1.零時のドイツ?
 2.大学の再建
 3.研究機関及び学術誌類

第14章 新しい「価値秩序」と法治国家の再建
 1.基本権に対する初期の反応,注釈書及び概説書
 2.連邦憲法裁判所
 3.法治国家と基本権
 4.デモクラシー
 5.一般国家学から憲法論へ

第15章 社会国家・介入国家としてのドイツ連邦共和国
 1.社会国家と「社会法」
 2.継続的介入
 3.行政法の変容
 4.大学の拡大

第16章 ドイツ民主共和国における国法・国際法・行政法
 1.政治的基本構造
 2.研究機関と学術誌

第17章 ヨーロッパ法・国際法

第18章 再統一
 1.外交上の伏線
 2.国法と国際法の課題
 3.再統一の在り方
 4.大学の再編成・新設

第19章 グローバル化と国家の将来
 1.第一のグローバル化
 2.第二のグローバル化
 3.国民国家の将来
 4.憲法国家の将来

第20章 終わりに

訳注
参考文献
図版一覧
訳者あとがき
事項索引
人名索引

著者略歴

著:ミヒャエル・シュトライス
ミヒャエル・シュトライス(Michael Stolleis)

1941年生まれ。2021年逝去。法学者。フランクフルト大学法学部教授(1975~2006年),マックス・プランク・ヨーロッパ法史研究所所長(1992~2009年)。ルンド(スウェーデン),トゥールーズ,パドヴァ,ヘルシンキ各大学名誉博士。バルザン章,プール・ド・メリット勲章等。著書にGeschichte des offentlichen Rechts in Deutschland, 4 Bde.( C. H. Beck, Munchen, 1988─2012), Verfassungs- und Verwaltungsgeschichte. Materialien, Methodik, Fragestellungen(De Gruyter Oldenbourg, Berlin, 2017)ほか多数。
訳:福岡 安都子
福岡 安都子(ふくおか あつこ)

1977年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。東京大学大学院法学政治学研究科助手を経て,現職。著書に『国家・教会・自由─スピノザとホッブズの旧約テクスト解釈を巡る対抗』(東京大学出版会,2007/増補新装版2020),The Sovereign and the Prophets : Spinoza on Grotian and Hobbesian Biblical Argumentation, (Brill, 2018)など。

ISBN:9784326404278
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:304ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2023年10月
発売日:2023年10月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LND