少女は男となることを望んだ……!
男装して宮中にあがり、帝の愛をめぐって姉と争う少女の物語絵巻。
男性だけが成仏できるとされた時代、女性はどのように生きたのか―。
人物絵の隣に台詞が書かれた「室町時代のマンガ」とも言える、ユニークな佳品。マンガ的吹き出しつき現代語訳に加え、絵巻全体を写真で紹介。本作品が持つ意義も多方面から、あますところなく伝えます。
『新蔵人』絵巻は中世に多く作られた短編の物語絵巻の一つ。 絵は墨線のみによって描かれ、絵巻の縦寸法は約11センチの小型です。 絵の中には言葉が書き込まれていて、通常、それは場面説明や登場人物たちの台詞を表しているものですが、『新蔵人』では画面説明が一切ありません。すべて登場人物たちの名前と会話だけで成り立っているのが特徴です。 絵の前には、詞書という文字テクストだけで成り立っている部分が存在し、交互に展開することで物語は進んでいきます。 少女が男装するといった物語の筋をとってみても、まさに室町時代の「マンガ」! 『とりかへばや』などの系譜に連なりつつ、独自の結末を迎える『新蔵人』の世界をご堪能ください。
本書では、上巻をサントリー美術館本、下巻を大阪市立美術館本を底本にしています。