「島津家文書」は、東京大学史料編纂所が所蔵する旧薩摩藩主島津家に伝来した文書群で、武家文書の白眉として平成十四年(2002)に国宝に指定されている。本冊には、「御文書」と外題が付けられた巻子のうち「光久公九 巻四十六」から「光久公十九 巻五十六」までの十一巻を対象として、文書の翻刻を掲載している。薩摩藩主島津光久に宛てられた、概ね慶安元年(1648)から明暦三年(1657)までの、江戸幕府老中連署奉書や琉球国王・幕閣・公家の書状などが収載されており、慶安四年(1651)に三代将軍徳川家光が歿して家綱ヘ代替わりする前後の状況や、明暦の大火と復興に関する情報など、十七世紀の政治史・社会史に関する重要な情報を知ることができる。