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講談社現代新書

高層建築物の世界史

著:大澤 昭彦

紙版

内容紹介

高層建築物は、時の為政者の権力や自己顕示欲、富を象徴する一方で、ランドマークとして人々に親しまれる存在でありました。同時に、その都市のスカイラインや景観をつくってきました。高層建築物は、いわば人類が歩んできた軌跡を象徴するモニュメントと言えるのではないでしょうか。世界で、日本で、どんな高層建築物が、どのように建てられてきたのか。そして、なぜ人類は高層建築物を希求してきたのかを探ります。


人類の歴史は、高層建築物をつくってきた歴史でもあります。

古代においてもすでに、メソポタミアの宗教的建造物ジッグラト、エジプトのピラミッド、ローマのコロッセウムや高層アパートなど、巨大・高層建築物がつくられていました。中世になると、ヨーロッパでは城塞やゴシック教会、中東ではイスラームのモスク、日本では仏塔がつくられました。
15世紀以降は、都市の景観の中での高層建築物のありかたが問われるようになります。19世紀末からの摩天楼の時代を経て、20世紀半ばからは、超高層ビルとタワーの時代が始まります。そして、現在、高層建築の中心は、再び中東、そして東アジアに移っています。

高層建築物は、時の為政者の権力や自己顕示欲、富を象徴する一方で、ランドマークとして人々に親しまれる存在でありました。同時に、その都市のスカイラインや景観をつくってきました。高層建築物は、いわば人類が歩んできた軌跡を象徴するモニュメントと言えるのではないでしょうか。

本書では、時代を映す鏡として高層建築物をとらえ、その歴史を振り返ります。世界で、日本で、どんな高層建築物が、どのように建てられてきたのでしょうか。そして、なぜ人類は高層建築物を希求してきたのか、を探ります。

目次

第一章 神々をまつる巨大建造物――紀元前3000年頃-紀元後5世紀頃の高層建築物前史
1 古代メソポタミアのジッグラト
2 古代エジプトのピラミッドとオベリスク
3 巨大・高層建築物の都市、古代ローマ
4 アレクサンドリアのファロスの大灯台
5 古代日本の巨大建造物
第二章 塔の時代――5-15世紀頃 
1 中世ヨーロッパの城塞
2 ゴシック大聖堂
3 塔の都市、中世イタリア
4 イスラームのモスク
5 日本の仏塔
第三章 秩序ある高さと都市の景観の時代――15-19世紀
1 ルネサンス都市における高さ
2 宗教都市ローマの大改造  
3 ロンドン大火と都市復興
4 国民国家の都市改造
5 近世・近代日本における「都市の高さ」
第四章 超高層都市の誕生――19世紀末-20世紀半ば
1 鉄骨、ガラス、エレベーター
2 万国博覧会と巨大モニュメント―クリスタル・パレスとエッフェル塔
3 シカゴ・ニューヨークにおける摩天楼の誕生と発展
4 第二次世界大戦前のヨーロッパの超高層建築物
5 全体主義国家における高層建築物
6 第二次世界大戦前の日本の高層建築物
第五章 超高層ビルとタワーの時代――1950-1970年代
1 アメリカの鉄とガラスの摩天楼
2 高さ世界一を競って―ワールド・トレード・センターとシアーズ・タワー
3 ヨーロッパの超高層ビル
4 日本における超高層ビル
5 西ヨーロッパにおけるタワー
6 共産圏におけるタワー
7 北米におけるタワー
8 日本のタワーブーム 1950-1960年代
9 高層化がもたらす影 1960-1970年代
第六章 高層建築物の現在――1990年代-現在
1 グローバル化する超高層建築物
2 アジアにおける高さ世界一の更新
3 中国における超高層建築物
4 ドバイとサウジアラビアの超高層建築物
5 ヨーロッパでの超高層ビルの増加
6 日本の超高層建築物の現在
7 自立式タワーの現在
終章 高層建築物の意味を考える

著者略歴

著:大澤 昭彦
1974年、茨城県生まれ。東京工業大学大学院社会理工学研究科社会工学専攻博士課程修了。博士(工学)。
財団法人土地総合研究所研究員を経て、現在、東京工業大学大学院総合理工学研究科人間環境システム専攻助教。
専門は、景観・都市計画、建築・都市計画法制史。2009年、日本都市計画学会論文奨励賞受賞。著書に『高さ制限とまちづくり』(学芸出版社)がある。

ISBN:9784062883016
出版社:講談社
判型:新書
ページ数:448ページ
定価:1300円(本体)
発行年月日:2015年02月
発売日:2015年02月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AMG