こころライブラリーイラスト版
認知症の人のつらい気持ちがわかる本
監:杉山 孝博
内容紹介
認知症の人が抱く「不安」「恐怖」「悲しみ」「焦り」の感情回路。認知症と診断された人が、日々どのような思いで過ごしているのか? 症状が進むにつれて、「思い」はどう変化していくのか? 本書は周囲の人にはなかなかわからない、認知症の人の気持ちをイラスト図解でまとめた本です。すすめても病院に行こうとしない、止めても運転したがる、トイレ以外の場所で排泄してしまう……の対応法もわかるQ&A付き。
ひと目でわかるイラスト図解
《講談社 こころライブラリーイラスト版》
【認知症の患者さんたちは、いったいどんなことを考え、どんな気持ちで日々暮らしているのか。】
本書の監修者である杉山医師は、認知症患者本人の声を集める調査を行い、624人から回答を得ました。
その内容を見ると、意外にも認知症患者さん本人は自分の状況を的確に理解していることがわかります。
本書では認知症の症状だけを見ていてはわからない、患者さん本人の気持ちと思いを、イラストをまじえながらわかりやすくまとめています。
本人が感じている不安、恐怖、寂しさを理解することは、その家族、ヘルパーなど認知症の介護者にもかならず役立つはずです。
また、さらに認知症が進んだ人は、どのようなことを考えたり感じたりしているのか、本人のすんでいる世界を解説。
認知症の人に寄り添い、支えるための決定版です。
【本書のおもな内容】
《1.自分を失っていく不安と心配》
発病から受診、診断を受けたころの気持ち
《2.自分にできることをしておきたい》
初期には判断力もある。通院、生活の工夫、お金の管理から死に方まで考える
《3.寂しい日々だけど喜びもある》
落胆・混乱の時期を経て、気持ちが落ち着き、認知症を受容し、生き方を模索する
《4.認知症の人がすんでいる世界を理解する》
昔の記憶と感情は残る。まだらぼけの世界とは?
《5.こんなときどうする?--気持ちに寄り添って》
Q&A。家族が困るケース。本人の気持ちに添った対応のしかたを解説
目次
まえがき
ケース 認知症でも、おばあちゃんなりに考えて、一所懸命していること
《1.自分を失っていく不安と恐怖》
【心配】疲れ? なにかがおかしい 【困惑】日常生活に困ることが起こる 【会話】言いたいことの言葉が見つからない 【記憶】みんなが自分の知らないことを言う 【受診】私はぼけ? はっきり知りたい 【診断】病名がわかってよかったけれど 【恐怖】自分が自分でなくなってしまう 【後悔】これまでのなにがわるかったんだろう
《2.自分にできることをしておきたい》
【準備】今後に起こりそうな問題を考える 【支援】誰かに助けてもらいたいけど 【お金】生活費や医療費を確保しておく 【工夫1】現在できることを最大限活用する 【工夫2】細かい工夫でミスを防ごう 【医療1】これ以上、症状を進行させたくない 【医療2】病院は頼りにしているが要望もある 【独居】ひとり暮らしを続けていけるか 【遺言】死に方と死後の始末を決めておく
《3.寂しい日々だけど喜びもある》
【孤独】人とのかかわりがなくなって寂しい 【生きがい】できることもあると、わかってほしい 【介護】人に迷惑をかける自分が情けない 【福祉】デイサービスは気晴らしになる 【対人関係】うれしかったこと、悲しかったこと 【思考】なにごともよいほうに考えるようにしている 【楽しみ1】人に会い、おしゃべりをするのが楽しい 【楽しみ2】ささやかながら楽しめる趣味がある 【人生】平凡に生きてこられてよかった 【家族】言葉につくせないほど感謝している
《4.認知症の人がすんでいる世界を理解する》
【出現強度】頼れる人だから、わがままになる 【自己有利】自分に不利なことは認めない 【まだら症状】常識と非常識が混在する 【感情残像】記憶は残らなくても感情は残る 他
《5.こんなとき、どうする?―気持ちに寄り添って》
Q1 すすめても病院に行こうとしない/Q2 近所の人に家族の悪口を言いふらす/Q3 止めても、車の運転をしたがる/Q4 トイレ以外の場所で排泄してしまう 他