出版書誌データベース

日清戦争前夜、古代伝説の地出雲から、軍都の色彩を強めていた熊本に移住したハーン。旅の宿屋で夢のあわいに浦島伝説へと入りこんだような「夏の日の夢」、一つの心中事件を描いて日本人の〈信仰〉に迫る「赤い婚礼」他、〈詩人の直観と哲人の思索〉に基づく繊細な筆をもって書き綴った、近代日本の肖像。(解説=西成彦)

東の国から──新しい日本における幻想と研究

　夏の日の夢

　九州の学生とともに

　博 多 で

　永遠の女性

　生と死の断片

　石 仏

　柔 術

　赤い婚礼

　願望成就

　横 浜 で

　勇子──ひとつの追憶

　　訳者解説(平井呈一)

　　解説
　　「西洋と東洋とのあいだをつなぐ知的共感」を夢見て(西成彦)

著：ラフカディオ・ハーン
ラフカディオ・ハーン
1850-1904．ギリシア生まれのイギリス人．後に帰化し小泉八雲を名乗る．新聞記者，作家，英文学者．熊本五高，東大等で教鞭をとる一方で，英語の著作で海外に日本を紹介した．代表作に『怪談』『心』等がある．

訳：平井 呈一
平井 呈一
1902-1976．翻訳者，作家，編集者．河東碧梧桐，佐藤春夫，永井荷風に師事．『ドラキュラ』をはじめとした英米怪奇文学や，ラフカディオ・ハーンの諸作品の訳者として著名．