刊行にあたって
プロローグ――手仕事の居場所
第Ⅰ章 「日本美術」の生成――美術政策と西洋近代
一 「日本美術」揺籃の場としての博覧会――ウィーン万国博覧会を起点として
博覧会の世紀/ウィーン万博の日本表象/「北海道産物」/複数の関係者,重層する文脈/博覧会と帝国主義/近代日本文化の枠組み
二 産業と「美術」――「美術」の制度化(1)
サウスケンジントン博物館と日本/殖産興業政策から離陸する博物館/ウィーン以後の博覧会/博覧会と博物館,それぞれの歩み
三 ジャンルのヒエラルキーと教育制度――「美術」の制度化(2)
「工業」と「工芸」のはざまで/「美術」の純化とジャンルの階ヒエラルキー層秩序
四 「手芸」と女性の国民化――もう一つの国家プロジェクト
女性の「美術」からの排除/手芸と美術
第Ⅱ章 帝国の工芸と「他者」――富本憲吉の視線の先に
一 日露戦争後の美術界
模索する青年美術家たち/富本憲吉の英国遊学/奈良の生家から東京美術学校へ/人生の模索と手仕事遍歴/『美術新報』というメディア/交友関係の広がりと白樺派/バーナード・リーチとの交友/「版」の表現と田園風景/「小芸術」の時代/新進作家小品展覧会と会場装飾/「自己」の居場所を求めて/坂井犀水の大和訪問
二 消費社会の美術工芸
美術と「自己の主義」/「趣味」と消費生活
三 女性,野蛮,農民の手仕事――「他者」との遭遇
モリスの気持ちでイッパイに/模様から模様を造らず/「マズク ヤルコト」/大和の女性たちの手仕事/「野蛮」なるものの美/博覧会とアイヌの手仕事/民間の芸術,百姓の手仕事
第Ⅲ章 大正期美術運動の展開――手芸,農民美術,民芸
一 社会問題としての美術工芸
「陶器の民衆化」論/権田保之助『美術工芸論』
二 工芸,手芸とアマチュアリズム――藤井達吉と姉妹たち
独学の人/美術界への登場/同世代の美術家たち/パトロンと批評の位置/富本と藤井/藤井達吉の姉妹と姪/個人作家としての女性たちへのまなざし/「家庭手芸」と主婦之友社/応答する読者/手芸によって社会へ/「素人の手芸」の居場所をめぐって/「十字街頭」から「郷土」へ
三 農民美術運動と農村政策の時代――山本鼎の実践と蹉跌
山本鼎の生い立ちからロシア滞在まで/美術家の「欠伸」/帝政末期ロシアの農民美術/「他者」の手仕事の蒐集/「農民美術建業之趣意書」を読む/三越での展示即売会の成功/農民美術の理念と現実/農民美術への批判と期待/批判への応答/産業か,美術か/強化される農民イメージ/再びの,工芸と国家
四 「個」と協働――富本憲吉と民芸運動
「大和時代」の富本/ホームの協働が終わるとき/写真と工芸の領分/富本と朝鮮/東京転居と「量産陶器」製作/「民芸」との乖離
エピローグ―― 「手仕事の国」日本はどこから来たのか,そしてどこへ行くのか
文献一覧
あとがき
【コラム】
1 P・シーボルトの「日本博物館」
2 「戦慄の間」と「ピリオド・ルーム」
3 『主婦之友』の文化事業
4 山本鼎の版画と民衆
5 マトリョーシカと木彫り熊