プロローグ――『西洋道中膝栗毛』と帝国航路
第Ⅰ章 帝国航路とイギリス植民地
一 帝国航路の旅
帝国航路/船客さまざま
二 寄港植民地点描
広がるイギリス植民地/上海/香港/シンガポール/ペナン/ゴール・コロンボ(セイロン)/アデン/紅海/スエズ運河/ポートサイド・カイロ・アレクサンドリア
第Ⅱ章 幕末動乱のなかで―― 一八六〇年代
一 日本の将来を探る旅
自由貿易帝国主義の時代/幕末の日本が送り出した人々/観察する者と眼を閉ざす者
二 ヨーロッパ文明との出会い
ヨーロッパ風の事物/スエズ鉄道
三 ヨーロッパとアジアの落差
対照的な家屋/臭気と「不潔」
四 植民地化への警戒と日本の行方
福沢諭吉と帝国航路/「東方でのヨーロッパ」志向
【コラム1】帝国航路を漢詩に詠む
第Ⅲ章 明治国家建設をめざして―― 一八七〇~八〇年代
一 帝国世界形成期の旅
帝国世界形成期の世界/近代国家日本の模索
二 ヨーロッパ文明と植民地支配――久米邦武と中江兆民
久米邦武の場合/中江兆民の場合
三 優勝劣敗の世界像
野蛮なアジア/支配されるアジア
四 自立する日本の模索
日本の行方/オラービーを訪ねて
【コラム2】中国人の見た帝国航路
第Ⅳ章 帝国支配国へ―― 一八九〇年代~第一次世界大戦
一 帝国世界絶頂期の旅
帝国世界の完成/増大する日本人旅行者/帝国世界完成期のアジアと日本
二 拡大する日本の力と英領植民地の日本人
日本の力拡大の諸相/問題としての「からゆきさん」
三 アジアの民衆への視線
「亡国の民」の相貌/「中国人あなどるべからず」
四 ヨーロッパとの競合と植民地統治策
ヨーロッパと競合する日本像/植民地統治モデルの模索
五 第一次世界大戦期の帝国航路
戦火のなかの帝国航路/イギリス帝国の動揺/日本の将来
【コラム3】香港・シンガポールに眠るからゆきさん
第Ⅴ章 ヨーロッパへの挑戦―― 一九二〇~三〇年代
一 帝国世界再編期の旅
帝国世界の危機と再編/旅する人の多様化/皇太子の旅/第二次世界大戦への道と帝国航路
二 ヨーロッパに対抗する日本
日本の存在感/アジア「解放」の夢?/排日気運の実感/一九三〇年代の寄港地
三 植民地支配をめぐって
イギリス帝国観の動揺/イギリス植民地統治策の吟味/アジアの民衆像の相克
【コラム4】日米・日英交換船
エピローグ――帝国航路とアジア・ヨーロッパ
敗戦国民の旅/脱植民地化の風のなかで/帝国航路と近代日本の軌跡
文献一覧
あとがき
人名索引