出版書誌データベース

プロセス安全に関する学術書の到達点とされる F. Stoessel 著、"Thermal Safety of Chemical Processes: Risk Assessment and Process Design"（Second, Completely Revised and Extended Edition）の完訳版であり、石油化学業界を中心とする読者に高い評価を得た2011 年刊行の『化学プロセスの熱的リスク評価』の改訂版です。第2版では、大幅な改編・アップデートにとどまらず、フロー化学やモデリング・シミュレーションなど、製薬・ファインケミカル業界にも対応する実践的な最新の知見が追加されています。複雑で高リスクな化学反応を安全にスケールアップするためには、経験則ではなく理論に基づいたプロセス理解が不可欠。本書はそのための体系的な知識を提供し、読者の意識を「使えるか？」から「どう使いこなすか？」へと導くことを目指しました。

I　熱的プロセス安全の概要/1　ファインケミカルプロセスのリスク分析入門/1.1　化学産業と安全/1.2　リスク分析/1.3　安全性データ/1.4　系統的ハザード特定/1.5　リスク分析の実施/練習問題/参考文献/2　熱的プロセス安全の基礎概念/2.1　エネルギーポテンシャル/2.2　反応速度に対する温度の影響/2.3　熱収支/2.4　暴走反応/練習問題/参考文献/3　熱的リスクの評価/3.1　プロセスの熱的安全性/3.2　熱的リスク評価基準/3.3　化学プロセスの危険度/3.4　評価手順/練習問題/参考文献/4　実 験 技 術/4.1　熱量測定の原理/4.2　安全研究機関で用いられる装置/4.3　マイクロ熱量計/4.4　反応熱量計/4.5　断熱熱量計/練習問題/参考文献/5 エネルギーポテンシャルの評価/5.1　熱的エネルギー/5.2　圧力の効果/5.3　エネルギーポテンシャルの実験的決定法/練習問題/参考文献 /II　発熱反応の解析/6 　概論：反応装置の安全性/6.1　反応装置の動的安定性/6.2　冷却機能喪失後の反応装置の安全性/6.3　モデル反応による検討例/参考文献/7 バッチ反応装置/7.1　化学反応工学からみたバッチ反応装置/7.2　等温反応/7.3　断熱反応/7.4　ポリトロープ反応/7.5　等周温反応/7.6　温度制御反応/7.7　バッチ反応装置の安全な設計のための鍵となる要素/練習問題/参考文献/8 　セミバッチ反応装置/8.1　セミバッチ反応装置の原理/8.2　セミバッチ反応装置における反応物の蓄積/8.3　等温反応/8.4　等周温，一定温度の冷媒/8.5　非等温反応/8.6　投入制御手法/8.7　温度と投入速度の選択/8.8　高度な投入制御/練習問題/参考文献/9 　連続反応装置/9.1　連続槽型反応装置（CSTR）/9.2　チューブ型反応装置/9.3　他種の連続反応装置/練習問題/参考文献/III　潜在反応の防止/10 　熱安定性/10.1　熱安定性と潜在的分解反応/10.2　トリガーとなる条件/10.3　熱安定性の予測/10.4　TD24の定量的決定/10.5　熱安定性評価の実践/練習問題/参考文献/11 　自触媒反応/11.1　自触媒分解/11.2　自触媒反応の特定/11.3　自触媒反応のTMRad の決定/11.4　自触媒反応に関する実際の安全性/練習問題/参考文献/12 　熱の蓄積/12.1　蓄熱の状況/12.2　熱収支/12.3　反応性物質との熱収支/12.4　蓄熱状態の評価/練習問題/参考文献/13 　単位操作/13.1　単位操作における熱危険性/13.2　試験手順の各論/13.3　固体を扱うプロセスに関連する危険性/13.4　液体を扱う操作に関連する危険性/13.5　危険物の輸送とSADT/練習問題/参考文献/IV　熱的プロセス安全の技術的側面/14 　工業反応装置の加熱と冷却/14.1　工業用反応装置の温度制御/14.2　缶壁を介した熱交換/14.3　蒸発冷却/14.4　温度制御システムの動的特性とプロセス設計/練習問題/参考文献/15 　リスク低減策/15.1　選択する戦略/15.2　反応暴走自体の未然防止策/15.3　技術的な防護策/15.4　緊急対策/15.5　技術的対策の設計/練習問題/参考文献/16 　緊急放圧/16.1　緊急放圧システムに関する一般的見解/16.2　サイジング手順の予備段階：シナリオの同定/16.2.3　ステップ2：流動挙動の決定/16.3　サイジングステップ：流体力学/16.4　 マルチパーパス反応装置器における緊急放圧システム（ERS）のサイジング/16.5　放出物の処理について/練習問題/参考文献
他