まえがきにかえて/序章 ムーミン谷の成分表/パパは彫刻家、ママは挿絵画家/児童文学作家か、画家か、芸術家か/ユートピアの源泉/第一章 すべてはパリから始まった ──一九〇五‐一四年(〇歳)/牧師館のおてんば娘/パリのめぐり逢い/モンパルナスという楽園/第二章 ヘルシンキにトーヴェと戦争がやって来た ──一九一四‐一八年(〇‐四歳)/スカット岬のアトリエ/クロンテン、芽吹く/ヴィクトル、出征する/しあわせは滅びの危機と背中合わせ/内戦の終わりとヴィクトルの変貌/第三章 ヘルシンキのアトリエで育つ ──一九一八‐三〇年(四‐一六歳)/「語り」がつむぐママと少女のコクーン/書く、描く、そしてかせぐ/デビュー絵本が出版される/児童雑誌の表紙絵を描く/連載漫画デビュー/第四章 シグネの仕事を引き継いでいく ──一九三〇年(一六歳)/シグネ、造幣局の仕事を手に入れる/『ガルム』の首席画家/フィンランドの「切手の母」/娘は娘の道をゆく/第五章 ペッリンゲの島でママとパパと夏をすごす ──一九二〇‐三〇年(六‐一六歳)/夏には「カッレ=ビシン」の家に帰る/シグネが提案、シグネが負担/シグネが書いた「墓碑銘」/「愛したのは、ひとりの芸術家」/芸術家であることと父親であること/高潮がもたらす贈り物/彫刻家ヴィクトルへの敬意/第六章 ストックホルムで愉快な叔父たちとくらす ──一九三〇‐三三年(一六‐一九歳)/シグネの母校に留学する/鉱山技師トルシュテンは爆発が好き/生物学教授ウロフは昆虫が好き/医化学教授エイナルは学問一筋/冒険家ハラルドは船と登山が好き/ムーミン谷の生きものたちが醸成されてゆく/第七章 テクニスで技術と自由を得る ──一九三〇‐三三年(一六‐一九歳)/日記よ、汝の名はファビアンなり/技術の習得は芸術家に自由をもたらす/残るか帰るか、それが問題だ/いまは試練と疑念のとき/子ども時代を卒業する/第八章 アテネウムが分断されていく ──一九三三‐三七年(一九‐二三歳)/ひとつの国に、ふたつの母語/フィン語の逆襲と日常の緊張/フィンランドのスウェーデン語文化の危機はいまも/フィン語文化のための学校/ガッレン=カッレラの諷刺画を描く/アテネウムにさようなら/第九章 芸術家になりたい ──一九三三‐三七年(一九‐二三歳)/男たちはパーティーをする/師匠にして恋人──サム・ヴァンニ/語る男と聴く女/「神の警告」による破局の予告/それでも関係はつづく/絵についてたいせつなことを教えてくれた/第一〇章 パリとベルリン、ふたつの衝撃に見舞われる ──一九三四年(二〇歳)/「罪びとごっこ」の顛末/どうすれば神の赦しを得られるのか/ヒトラーのドイツがもたらす危機と不安/二週間のパリ旅行の成果──短篇小説で作家デビューする/ドイツで描かれた「黒いムーミントロール」/第一一章 パリに留学しセーヌ左岸に両親の足跡を追う ──一九三八年(二三‐二四歳)/「ピルスナーの茶色」は好きじゃない/挿絵画家ヤンソンの「収入と仕事」/パリへ、セーヌ左岸へ、シグネとヴィクトルのアトリエへ/一九一〇年代のモンパルナス文化を求めて/《北…ほか