はじめに/縄文と世界遺産/なぜ「縄文文化」なのか/本書の構成/第1章 縄文を問い直す/1 問題の所在/「縄文文化」とは何か/「縄文文化」の複層性/2 縄文遺跡群と世界遺産/縄文という名称/なぜこの地域なのか/推薦の単位としての「地域文化圏」/世界遺産登録を受けて/3 「縄文文化」を考える/考古学における「文化」とは何か/ベル・ビーカー土器/縄文土器の誕生/縄文土器にみる複層性/「縄文文化」の中に「文化」を設定できるのか/「縄文文化」は海外にどう伝わっているのか/4 「縄文文化」論に向けて/縄文遺跡群に寄せられる違和感/概念の整理/第2章 先史遺跡と世界遺産/1 世界遺産のイメージ/古代文明だけではない世界遺産/先史遺跡の特徴/2 世界遺産に選ばれるまでのプロセス/「顕著な普遍的価値」とは何か/世界遺産一覧表に記載されるまで/諮問機関による調査と勧告/3 先史時代の遺跡を世界遺産にするということ/世界遺産一覧表にみる不均衡/シリアル・ノミネーションと縄文遺跡群/先史時代の遺跡と評価基準/4 地下遺構と世界遺産/地下に残された世界遺産/日本の史跡整備と地下遺構/復元をめぐる国際憲章/縄文遺跡群と復元/5 縄文遺跡群と景観/考古学的景観/土地利用のあり方と植生復元/世界遺産の真実性/現代における考古学的景観/6 考古遺物と世界遺産/動産を世界遺産にすることはできないのか/縄文遺跡群と考古遺物/新たな推薦の形/第3章 世界の先史時代との比較/1 比較の視点/比較考古学とは何か/世界遺産推薦のための比較研究/「縄文文化」と「新石器文化」/「縄文文化」起源論とその後/「縄文文化」の比較考古学/2 世界遺産一覧表における縄文遺跡群/人類史年表をつくる/先史時代の世界遺産/世界遺産一覧表中の先史遺跡/比較の観点/3 西アジアとの比較/西アジア先史時代の概要/「ナトゥーフ文化」の遺跡群/ギョべックリ・テペ遺跡/新石器時代の世界遺産/4 ヨーロッパとの比較/中石器時代・新石器時代と世界遺産/巨石記念物の世界/ストーンヘンジはどのように作られたか/アルプス周辺における先史時代杭上住居群/5 アメリカとの比較/パレオ・インディアン期/マウンド・ビルダー伝統と世界遺産/ポバティ・ポイント遺跡/6 東アジアとの比較/東アジアおよび東北アジアの概要/良渚古城遺跡/紅山文化遺跡群/第4章 縄文遺跡群と「縄文文化」/1 世界遺産と文化多様性/本書の問い/「縄文文化」と普遍的価値/ユネスコと文化/多様な「新石器文化」像/縄文遺跡群に期待されたこと/2 「縄文文化」の複層性と多様性/「縄文文化」の複層性/「縄文文化」の多様性/3 「北海道・北東北の縄文遺跡群」/「津軽海峡文化圏」/土器出現期/縄文早期の集団移住/海峡を越えた大規模記念物/管理・栽培と農耕の伝播/津軽海峡を越えて/4 過去の文化への眼差し/先史時代をどう認識するか/「縄文文化」の基層文化論/縄文時代以後の文化領域/あとがき/本書の内容/これまでの経緯/「縄文文化」とは何か/「北海道・北東北の縄文遺跡群」が果たすべき役割/謝辞/巻末図/巻末表/出典一覧/参考文献