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2017年に日本に登場したRPA（Robotic Process Automation）は、多くの国内企業に採用され、RPAによる自動化は多くの定型業務の効率化に貢献してきました。特に、働き方改革を推進する大きな流れのなかで、急激なスピードで普及し、「RPA先進国」といわれるまでに普及しました。しかし、全社的に導入している企業はさほど多いわけではなく、企業活動における影響は限定的です。
一方で、2022年に公開されたChatGPT3.5は、生成AIの可能性を世界に知らしめ、国内企業においては、RPAとは異なる文脈での導入が進んでいますが、欧米企業では2020年以降、AIとRPAを中心にさまざまなデジタルテクノロジーを上手く組み合わせて、全社レベルでの自動化を発展させ、よりうまくRPAを使いこなして全社レベルの業務の最適化と生産性の向上を実現する自動化を行っています。
生成AIをRPAと連携させることで、AIを頭脳として、社内のデータやITアプリケーションをRPAが神経系としてつなぐことで実現する、より人間に近い、擬人化された「新しい自動化」になると考え、その実現のために設立されたのが一般社団法人次世代RPA・AIコンソーシアム（NRAC）です。
本書ではNRACの知見や現場の声をもとに、自動化が、国内での現状を踏まえ、生成AIによってどのように進化するかを考察します。第1章では、国内で、RPAによる自動化の活用が進んでいる11の企業、教育機関、病院、NPO団体の方に幅広くご協力をいただき、その取り組みを担当者の方へのインタビューで紹介します。何を自動化したかだけではなく、どのように取り組みを進め、どのような価値が得られたかにもフォーカスすることで、自動化を進めるにあたっての課題や自動化を進めることの意義について、事例から明らかにしています。

表紙
目次
はじめに
第一章　事例インタビュー
「私が代わりに作ります！」 から始めたRPA推進 工数を捻出できないから自動化できない問題を解決して広げたユーザー開発の輪 トヨタ自動車株式会社
現場寄り添い型で始めた部内開発が全社を巻き込む従業員開発へ ロボットに出会ってキャリアが変わり、輝く人を見るのが心地よい 三井住友カード株式会社
自動化の成功体験が生産性向上の種をまいた 丸喜産業株式会社
時間外にロボットが働き、スタッフの出勤時には準備完了 自動化がITツールを使うための時間を患者様と向き合う時間に変える たにあい糖尿病・在宅クリニック
1カ月の実践型研修でRPA人材を育成 業務改善の伴走者が欲しい企業とキャリアアップして働き続けたいスタッフをマッチング パーソルテンプスタッフ株式会社
「何か見直す業務はないですか」 から手探りで見つけた進め方 丁寧な対話で課題と業務プロセスを可視化しBPRに基づく業務改革を実現する 長野県塩尻市
全員の 「毎週90分」 をRPAの学びに投資 モチベーションを持って成長することで3年で10倍以上に事業をスケール 認定NPO法人Teach For Japan
時間と成果を気にせず思いっきり取り組めて、失敗も大歓迎！ 学生のうちに自動化に取り組むことで、発想の引き出しが増えてきっと社会でも役に立つ 慶應義塾大学AI・高度プログラミングコンソーシア
「RPAはITのプロジェクトじゃない」 徹底的にボトムアップで考えたプロジェクトリーダーの熱意がトップダウンの全社展開につながった 中外製薬株式会社
DX推進室がCoEとなって部門のデジタル化を伴走支援 「主役は業務部門」 を徹底して巨大な組織で自動化の輪を広げる 東京電力エナジーパートナー株式会社
予算を持ち寄り手作りで始めたイベントが全ての始まりだった 「迷ったら突き進め。間違ったらすぐ戻れ」 で
走り続けてデジタルを武装する集団へと変身 日清食品ホールディングス株式会社
第二章 ［特別寄稿］ 「自動化の壁」を生成 AI で越える
１．RPAの日本上陸から7年たった、自動化の現在地
２．AI×RPAが描く 「新しい自動化」 と3つの壁 （生成AIの出現の前に）
３．生成AIが自動化にもたらすブレイクスルー
４．エージェンティックオートメーションによるさらなる自動化の進
第三章 ［座談会］ 最前線から見た「新しい自動化」の未来
おわりに
奥付