出版書誌データベース

天界を追放されたモムスは，逃げ込んだ人間界で狡智と弁舌に磨きをかけた。次々に引き起こす事件の果てに彼が辿る運命は…。初期ルネサンス期を代表する万能の天才・アルベルティ。とりわけ建築分野で名高い彼は，ギリシャ・ローマの神話に仮託しつつ現実の権力を鋭く風刺した文学作品を遺していた。
15世紀半ばにほぼ完成しながら，これまで紹介されなかったラテン語作品を日本で初めて翻訳。訳者は，建築史研究の碩学・福田晴虔博士（九州大学名誉教授）。深い学識に裏打ちされた訳注と解題は，数世紀の時を超えて，原作に新たな輝きを与える。アルベルティの深い人間洞察とレトリックに満ちた本作は，読書子必読の好著。

緒 言 ・・・・・3
第一書 ・・・・・11
第二書 ・・・・・71
第三書 ・・・・・139
第四書 ・・・・・191
解 題 ・・・・・245
付録（「食間談話集」からの抄録） ・・・・・279
あとがき

訳：福田　晴虔
1938年　秋田県に生まれる。東京大学工学部建築学科卒　建築史専攻。東京大学助手，大阪市立大学工学部講師，助教授，九州大学大学院教授，西日本工業大学教授などを経て，現在九州大学名誉教授。
主著（著作・翻訳）
《パッラーディオ》，1979年，鹿島出版会
アルド・ロッシ著《都市の建築》翻訳（大島哲蔵と共同），1990年，大竜堂
《建築と劇場－十八世紀イタリアの劇場論》，1991年，中央公論美術出版
ジョン・ラスキン著《ヴェネツィアの石》Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ翻訳，1994-96年，中央公論美術出版
《ブレネッレスキ》（イタリア・ルネサンス建築史ノート〈1〉），2011年，中央公論美術出版
《アルベルティ》（イタリア・ルネサンス建築史ノート〈2〉），2012年，中央公論美術出版
《ブラマンテ》（イタリア・ルネサンス建築史ノート〈3〉），2013年，中央公論美術出版
その他