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知の新書 J09

エクリチュールへ Ⅰ

明治期「言文一致」神話解体 三遊亭円朝考

著:鈴木貞美

紙版

内容紹介

『ナラトロジーへ 物語論の転換、柳田國男考』(知の新書J07)に続く、〈鈴木貞美の文芸論②〉
「言文一致運動」は西洋における「近代文体革命運動に匹敵」するという見解は、西洋近代の俗語革命についても、明治期「言文一致」体運動についても、両者の基本的性格を把握できないまま、短絡して類比している。口語体や言文一致はすでに江戸期、平安期からあった。明治期に「言文一致」運動が、分野により、メディアにより、マダラ状に進行した実態を明らかにし、それを論じてきた戦後の学界、文芸批評界の動向の虚妄性を追い直し、二葉亭四迷の果たした役割を見直し、江戸時代から連続し、二葉亭らに先行していた三遊亭円朝の実際の口演と、その「口語体」の活字化について論じる。円朝がモーパッサンの短篇を日本の江戸時代に舞台映し、長篇探偵小説に仕立て直していたなど、探偵小説史でも論じられてこなかった。日本の文芸史を書き換える碩学による学術考証の第二弾。

著者略歴

著:鈴木貞美
1947 年生まれ。文学史研究者。東京大学文学部仏文科卒。 国際日本文化研究センター及び総合研究大学院大学名誉教授。早くから日本文芸史の再編と取り組み、近現代出版史研究に携わる。
学際的な視野に立つ文理に跨る各種の国際的共同研究を開発。日本の「文学」をはじめ、「歴史」「生命」「自然」等、基礎概念の編制史研究を開拓し、深化に努めている。主著に『西田幾多郎―歴史と生命』(2020)『日本人の自然観』(2018)『日本文学の成立』(2009)(すべて作品社刊)など多数。

ISBN:9784924671805
出版社:読書人
判型:新書
ページ数:192ページ
定価:1300円(本体)
発行年月日:2023年12月
発売日:2023年12月13日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ