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古日本文学発生論 文庫版

著:藤井貞和

紙版

内容紹介

『古日本文学発生論』は、国文学者で詩人である著者が、当時、新しい種類の〈文献〉として姿をあらわしてきた南島古謡群の世界を渉猟し、同時代の詩人・黒田喜夫による術語〈亡滅〉の意味を問いながら、「記紀歌謡」の世界に失われた日本文学発生の始源を構造的に把握すべく書き進めた『現代詩手帖』の連載(1976〜77年)を中心にまとめられ、78年に初版が刊行された。折口信夫以降、半世紀におよぶ文学発生論の空白をうめて、いまなお光り続ける名著を人間社文庫・日本の古層シリーズとして復刊。
「この本は、あの時代に激しく呼吸し、思考し、鋭敏であった者たちにとっての、特別な本だった」という山本ひろ子氏による解説を巻末に収録。

目次

亡滅の歌声
異郷の構造
叢の底から
南のうたの方へ 神歌私注(上)
いずみを覓めて 神歌私注(中)
シルエットの呪謡 神歌私注(中の二)
英雄の死 神歌私注(下)
寿と呪未分論(上)
寿と呪未分論(下)
原古の再現ということ 神話から物語へ(一)
歌謡のゆくえ 神話から物語へ(二)
古代文学の誕生 神話から物語へ(三)
附篇一 「亡滅の歌」 黒田喜夫覚え書き
附篇二 日本神話と歌謡
附篇三 南島古謡の魅力
増補新装版附篇 文学の発生論と琉球文学
《解説》
かくて『古日本文学発生論』は誕生した
──南島古謡と黒田詩学の邂逅──

著者略歴

著:藤井貞和
1942年東京生まれ。詩人、国文学者。『源氏物語』研究の泰斗、また古文学、歌謡、南島論に関する多くの著書がある文学研究の第一人者。主な受賞は、角川源義賞(2001)『源氏物語論』、藤村記念歴程賞(2002)および高見順賞(2003)『ことばのつえ、ことばのつえ』、伊波普猷賞(2008)『甦る詩学』、鮎川信夫賞(2012)および芸術選奨文部科学大臣賞(2012)『春楡の木』、毎日出版文化賞(2020)『〈うた〉起源考』、読売文学賞(2023)『よく聞きなさい、すぐにここを出るのです。』など。2022年には日本芸術院賞を受賞した。そのほか『日本文学源流史』(2016)、『物語史の起動』(2022)、『〈うた〉の空間、詩の時間』(2023)など近著多数。

ISBN:9784911052051
出版社:人間社
判型:文庫
ページ数:336ページ
定価:900円(本体)
発行年月日:2024年04月
発売日:2024年04月15日