宮沢賢治 生成・転化する心象スケッチ
著:杉浦静

内容紹介
【本書の特長】
●賢治の原稿を全て調査した最新研究
全集(『新校本宮沢賢治全集』筑摩書房)の編集委員を務めた宮沢賢治研究の第一人者が、全集の編纂過程で賢治の草稿・原稿を全て調査・閲覧。その知見・成果をまとめた最新の研究書。
●何度も書き直された作品の変遷をたどる
よく知られるように、宮沢賢治は一つの作品を何度も書き直している。そのため、数多くの下書稿が残っており、一つの作品に多数のバリエーションがある。本書ではそれらを丹念に調査・検討して、宮沢賢治作品がどのように変転したのかをあきらかにした。
●完成されなかった作品から読み解く心の動き
『春と修羅』は一旦活字に定着してからも、賢治が生前に手入れ(書き込み)をしている。また『春と修羅』以降に書かれた「心象スケッチ」は出版という形で「完成」していない。こうして膨らんでいった「心象スケッチ」に対して、本書では残された草稿を手がかりに、賢治の「心象スケッチ」に込めた心の動きを論じた。
目次
目次(抜粋)
〈春と修羅〉考
第一集
「真空溶媒」─〈物質の不滅〉と死と再生
「永訣の朝」の生成─おまえとみんなとに聖い資糧をもたらすやうに
第二集
「一六 五輪峠」「一九晴天恣意」へ─「春と修羅 第二集」における宗教表象一斑
「九九〔鉄道線路と国道が〕」考―〈童話の扉に〉
「三一三産 業組合青年会」と 「三一四〔夜の湿気と風がさびしくいりまじり〕」―〈億の天才の併存〉から農民の〈協働〉へ
「五〇八 発電所」から「〔雪と飛白岩の峯の脚〕」へ
「三六八 種山ヶ原」から〈高清〉連作へ─軍馬補充部六原支部廃止の余波
「三六八 種山ヶ原」パート四の行方
「春と修羅 第二集」〈音楽用五線ノート〉の位置
《宮沢賢治》をめぐるいくつかの考察
《ダルゲ》考
散文「ダルゲ」から口語詩「ダルゲ」へ
文語詩「〔われはダルケを名乗れるものと〕」の生成
東京/岩手
「「東京」ノート」の「公衆食堂(須田町)」
あらたなるよきみちを―羅須地人協会からの再起
《宮澤賢治》を編む
「歌稿〔A〕」・「歌稿〔B〕」の成立とその行方
「疾中」前史―没後の受容過程について
〈詩稿集〉と〈山〉―宮沢賢治晩年の詩稿整理・再説
「冬のスケッチ」とは何か
テクスト・クローズアップ
心象スケッチに〈童話〉を読む
「青森挽歌」(一九二三、八、一)中のギルをめぐる会話の部分を読む
「花鳥図譜・七月・」を読む
「一〇五三〔おい けとばすな〕」(一九二七、五、三、)を読む
〔水と濃きなだれの風や〕文語詩篇鑑賞①
〔打身の床をいできたり〕文語詩篇鑑賞②
あとがき
索引
ISBN:9784910714035
。出版社:文化資源社
。判型:4-6
。ページ数:520ページ
。価格:4300円(本体)
。発行年月日:2023年10月
。発売日:2023年11月10日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB。