この本は、中国で増加している「日本語が使われた商品パッケージ」について、その背景や問題点を考察した実践的な研究書です。著者は2017年から5年間、江西省南昌市で実際に収集したパッケージをもとに、日本語の誤用や不自然な表現を分類・分析。見た目のデザインとして使われている日本語が、正確でないことが多く、その原因には日本語に堪能な人材不足や、言語に対するこだわりの欠如があると指摘します。
さらに、そうした現象を通して、日本語教育を受けた人材が商品開発などの分野で十分に活用されていない「需要と供給のミスマッチ」にも光を当て、日本語学習者が活躍できる新たな可能性を提案しています。
要するに、本書は言語表記の誤りを通じて、教育・文化・産業の接点を問い直す意欲的な一冊です。