出版書誌データベース

いつも平凡な成績の少女・秀男は、淡麗な顔立ちで優しい少年である边域と奇跡的な出会いを果たす。 边域は、繊細に蝉が刻まれた翡翠の万年筆を秀男に贈り、秀男はこの魔法の万年筆の助けを借りて成績を大きく伸ばした。
この小説は思春期の特徴、ティーンエイジャーが持つ将来への不安や戸惑い、理想を追い求める気持ちを表現している。
全ての人に適した教育制度や試験制度は存在しないので、どこかに学校生活に苦しむ子どもがいる。
『セミの歌、きみに届け』というタイトルの「きみ」は、若さの持つ儚さと無力さを象徴している。セミは誰のために鳴くのか？教育や試験制度になじめず、学校生活に苦しむ子どものために鳴くのだろう。

１　シュウナン　
２　ライ・シャオジュ　
３　スズメ　
４　手紙の主　
５　ビエン・ユー　
６　驚き　
７　競争　
８　夜の帰り道　
９　セミの羽　
10　戦い　　
11　新しい先生　
12　鳳凰とのろまな鳥　
13　市場　
14　第二回模試　
15　密告者　
16　こころの小部屋　
17　入試
18　絵のなかのペン　
19　小さな村　

著：張之路
1945 年北京生まれ。作家、脚本家。中国作家協会児童文学委員会副主任。中国映画人協会児童映画委員会会長。北京師範学院物理学科卒業。物理教師として教壇に立つかたわら児童文学作品を発表。十数年の教員生活を経て1982年北京児童映画製作所に移り、シナリオライターとなる。代表作に映画にもなった『霹靂貝貝』（帯電少年ベイベイ）や、教科書にも掲載されている『羚羊木彫』（木彫りのレイヨウ）などがある。2005年に中国アンデルセン賞文学賞を受賞し、翌2006年に国際アンデルセン賞作家賞候補として推薦された。邦訳に『第三軍団』がある。

監：髙野素子
1959年大阪府生まれ。1984～1987年上海・復旦大学に留学。日中児童文学美術交流センター、中国児童文学研究会会員。訳書に『真夜中の妖精』『なかなおりの魔法』『精霊のなみだ』（以上、あかね書房）、『ちえくらべ・アーファンティのとんちばなし』『オレのジタバタ記』『第三軍団』『漢字アートデザイン』（以上、樹立社）、『狼伝フイマン』（小学館）などがある。

訳：中村邦子
1965年生まれ。早稻田大学文学部を卒業。図書館員の仕事を通じて中国児童文学に出会う。日中児童文学美術交流センター、中国児童文学研究会、NPO法人日中翻訳活動推進協会会員。『虹の図書室』（日中児童文学美術交流センター）に翻訳を発表。