出版書誌データベース

本書はドイツ公法（憲法・行政法）の教科書「Grundkurs Öffentliches Recht」（公法の基礎コース）のうち、行政法編（§58～§107）を日本国内で初めて全訳したものである。本書の特徴は、ともすると官吏法、建設法、環境法といった多数の特殊行政法の雑多な集合体といった印象を抱きがちなドイツ行政法について、その中核となる知識を豊富な実例をもとに整理・提供することで、行政法の構造そのものを浮き彫りにしている点にある。そのカバーする領域は一般行政法の諸原則にとどまらず、国家責任法、行政訴訟法、さらには特別行政法に至るまで多岐にわたる。法素材の高度な体系化と、統一的な方法論的原則に基づく法素材の取り扱いという「ドイツ行政法の偉大な強み」を学ぶ上では最適の「入門書」である。

はじめに　行政法の叙述構想と方法論
第１部　一般行政法
　第１章　行政
　第２章　行政の法
　第３章　行政活動
　第４章 行政行為
　第５章 行政法における契約による活動
　第６章　公物
第２部　公法上の賠償請求権と調整請求権
第３部　行政訴訟法
　第１章　はじめに
　第２章　前置手続
　第３章　一般的本案判決要件
　第４章　訴訟類型
　第５章　仮の権利保護
訳者あとがき

著：ヤン・ツィーコー
1997年以来、ドイツ中西部ラインラント・プファルツ州にあるドイツ行政科学大学院シュパイヤーで、特に一般・特別行政法講座の担当者であり、ヨーロッパ法、国家法、行政法そして実証的行政研究の領域における40点以上の書籍を含む公刊物約400点の著者。

訳：大西　有二
「公法上の建築隣人訴訟―西ドイツの行政判例における「権利」「権利毀損」および「違法事由」」で博士号取得（1989年、北海道大学）。1993年北海学園大学法学部助教授、1994年同教授。シュパイヤー行政大学院客員研究員（ドイツ在外研究、1996年4月～97年8月）、ドイツ行政大学院シュパイヤー客員研究員（2004年2月～05年1月、2012年8月～13年1月）、北海学園大学法務研究科教授（2014年4月～）、同研究科長（2021年4月～）、北海道人事委員会委員（2014年10月～22年10月）など。