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TANKA《カタルーニャ語短歌》私語

日本古典文学が海外へ与えた影響の特殊例

著:小林 標

紙版

内容紹介

平安鎌倉和歌から現代カタルーニャ語文学へ
スペイン第二の都市バルセロナはガウディの建築やピカソの美術館だけの街ではない。それはスペイン語から独立したカタルーニャ語文学の中心地でもある。ないよりもそこでは、tankaと呼ばれる日本の短歌と同じ形態の五行の詩が今や伝統として根づいているのだ。少なからぬ現代のカタルーニャ語詩人が5/7/5/7/7の詩形で短歌を作り書物としているのは、英語にもスペイン語にもない世界でも稀な現象である。これは底流ではカタルーニャ州をスペイン国から独立させる政治的意欲とも繋がっている。
「TANKA《カタルーニャ語短歌》私語(わたくしがたり)」はカタルーニャ語短歌の全歴史を述べた世界で最初・唯一の書である。前世紀のその創始者から始まって、2011年出版の百首すべてを短歌形式で訳した百人一首カタルーニャ語版という偉業に至るまで、その道筋に登場する詩人たちとその作品が翻訳とともに詳しく解説されている。

目次

前文
序章
1 『Cent de Cent』
2 外国語の短歌
第一章 カタルーニャ語短歌の濫觴
1 カルラス・リバの実験
2 カルラス・リバの『遊戯と火』
3 カタルーニャ語短歌の規範化
4 リバとマリウス・トッラスの交流
5 カルラス・リバの短歌詳説
6 カタルーニャ語と日本文学:リバ以前
6-1 クーシューによる俳句の紹介
6-2 カタルーニャ語の俳句
6-3 隠れた先駆者モントリオル
第二章 カタルーニャ語短歌の展開
1 マリウス・トッラスの短歌
2 ロザ・ラバロニの短歌
3 サルバドー・アスプリウと短歌
3-1 アスプリウ対リバ
3-2 アスプリウの短歌
第三章 カタルーニャ語短歌と現代
1 カタルーニャ語短歌についての論文集 La Tanka Catalana
2 ミケル・ダスクロトと日本語詩
3 現代を生きるカタルーニャの詩人と短歌
3-1 アウグスト・ブベーの詩と美術
3-2 ジャウマ・マディナと『地中の堅き種子』
最終章 百人一首のカタルーニャ語訳『Cent de Cent』
付録1 カタルーニャ語についての最小限の知識
付録2 文献録
後書

ISBN:9784909933294
出版社:大阪公立大学共同出版会
判型:B6
ページ数:220ページ
定価:3600円(本体)
発行年月日:2021年11月
発売日:2021年11月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB