歌合を読む
試みの和歌論
著:錦 仁
内容紹介
〈うた〉を読むおもしろさ!
お題に沿って詠まれた和歌二首の左右どちらが優れているか、美しいかを競う「歌合」——勝負の様子を子細に分析する。
当時の人々が和歌をどのようなものと捉えていたのか。
和歌が日本の国家と文化の形成にどのような影響をもたらしたのか。
和歌を通して形づくられた日本像を探る。
目次
歌合とはどのようなものか
歌合と洲浜
1 洲浜の風景
2 天皇と洲浜
3 庭園と洲浜
判者の資格
1 判者の資格
2 歌は神から人へ
3 歴史・国土・和歌
4 歌ことば
5 和歌と国土
歌声
1 歌は音声
2 神仏と歌声
3 歌は神が与える
4 歌合に出す歌
歌論
1 心・詞・姿
2 心と姿―神の顕現
3 歌は姿をもち心がある
4 姿を作り上げる
5 及ぶまじき姿
6 歌の姿
7 姿―仏像を建立するごとく
8 歌の影
9 鳥の翼のような詞と心
10 和歌の力
11 見るもの聞くものにつけて
12 歌の心をつかむ
13 歌題の詠み方
歌合
1 対の思想
2 歌の根本へ
3 声で人柄がわかる
4 和歌を作ってみる
判詞
1 俊成と頼政の叙景歌
2 歌合のルール
3 歌の病
源俊頼の判詞
1 「すべらか」に詠むべし
2 題詠論
藤原俊成の判詞
1 古今集主義
2 音楽の力
3 定型の内部に音楽
4 俊成と定家
5 和歌に身を委ねる
6 音義説と似る
7 和歌と音楽
8 声わざとの違い
9 楽器のような和歌
「ふるまふ」歌
1 国の理念
2 「ふるまふ」歌のあやうさ
3 「ふるまふ」と「やすらか」
4 和歌らしい「心」
5 「ふるまふ」歌の評価
歌合の歌
1 評価される歌
2 歌合を挙行する
3 歌合にふさわしい歌
4 判者になってみる
本歌取り
1 本歌を思う
2 新しい歌
3 本歌の「二句以上三、四字」まで
4 「句」の文学
5 本歌と新歌が交響する
6 和歌と短歌
風俗
1 和歌は我が国の「たはぶれあそび」
2 和歌の根本
3 不変の「歌の心」
4 和歌の起源
5 歌の代作
6 和歌のある所が日本
稽古
1 古歌を学ぶ
2 和歌に師匠なし
3 稽古に励む
4 藩主の歌
歌枕と名所
1 歌合では歌枕・名所の知識が求められた
2 幻想の歌枕
3 歌は旅へ誘う
4 名所の詠み方
5 歌枕の現地で歌を味わう
6 実景という肉体
7 風景の発見―和歌から俳諧へ
8 伝統遵守の和歌―象潟
9 俊成の工夫、西行の旅
10 日本は和歌の国
11 藩内に名所をつくる
和歌の基底
1 全国に歌を詠む名所がある
2 「歌の心」と「人の心」
3 西行に向き合う俊成
4 俊成と西行
5 歌合を再び―連載のおわりに
*本書に関連のある筆者の著書・論文
あとがき
索引(和歌初二句/歌合・歌学書・その他/歌人・人名)