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軍記物語講座 4

乱世を語りつぐ

編:松尾 葦江
他著:坂井 孝一
他著:小井土 守敏

紙版

内容紹介

軍記物語が華やかに開花したのは、室町文化の中であった。

文学のみならず、歴史・芸術・言語等の周辺分野からのアプローチも交じえた、最新の研究成果を提示。この20年のうちに大きく変化してきた軍記物語研究の現在と、今後を見据えた文学本来の課題を照らしだす。

目次

 まえがき●山上登志美

◆Ⅰ 室町という時代
室町という時代●坂井孝一 
 はじめに/足利義満の時代―「室町殿」から「北山殿」へ―/足利義持の時代―「室町殿」の安定期―/足利義教の時代―「万人恐怖」から将軍弑逆へ―/足利義政の時代―将軍親裁から大乱勃発へ―/むすびにかえて―室町という時代の文化―

◆Ⅱ 武家政権の陰に 曽我物語・義経記
『曽我物語』の女性たち―〝女語り〟の物語は女性をいかに語ったか―●小井土守敏
 はじめに/『曽我物語』に登場する女性/兄弟を弔う女性たち/恩讐を超えて/仮名本の女性たち/称讃される女性たち/おわりに

曽我物語における挿入説話の問題●鈴木元
 注釈としての説話/慈恩寺縁起の周辺/『宝物集』をめぐる問題

『義経記』の構想力と遊戯性―弁慶像を中心に―●藪本勝治 
 『義経記』の二面性/作品としての構想力/伝承の改作と遊戯性/『義経記』の開放性

『義経記』の時代―『謡曲拾葉抄』『異本義経記』からみる『義経記』享受―●西村知子
 はじめに/『謡曲拾葉抄』について/『義経記』の引用/『異本義経記』の引用/おわりに

判官物の古状型往来―古状で綴られる義経・弁慶の生涯―●本井牧子
 『腰越状』『義経含状』『弁慶状』/『弁慶状』にみられる伝承/『弁慶状』の位相

◆Ⅲ つづく戦乱 明徳記・嘉吉記・応仁記・鎌倉大草紙・後南朝関係軍記
『明徳記』における「弓矢」●大坪亮介 
 はじめに/『明徳記』の武士と「弓矢」/延慶本『平家物語』と『太平記』の「弓矢」/『明徳記』における「不義ノ弓矢」「弓矢ノ不義」/氏清・満幸を「朝敵」と認めないこと/おわりに

嘉吉の乱関係軍記にみる叙述のあり方―謀叛の動機と自家の功績に対する認識の観点から―●瀬戸祐規
 はじめに/謀叛の動機/自家の功績/むすび

和歌を詠む赤松教康●藏中さやか
 嘉吉の乱首謀者の祖/和歌を詠む武人として/嘉吉の乱関係軍記と和歌/教康の終焉場面―実録的な作品群より―/教康の終焉場面―『嘉吉物語』より―/おわりに

『応仁記』一巻本・二巻本の成立―『野馬台詩』の呪縛からの解放―●山上登志美
 はじめに/一巻本と二巻本の先出をめぐって/『野馬台詩』をめぐって/未完『応仁記』/おわりに

『鎌倉大草紙』とその周辺―「作品」として考えるために―●田口寛
 はじめに/『大草紙』研究の現状/『大草紙』記事の周辺―同話・関係話資料など―/『大草紙』における上杉憲実/おわりに

「後南朝」の軍記物語●武田昌憲
 はじめに 後南朝とは―後南朝の初見―/後南朝の歴史/後南朝の軍記とは/後南朝軍記の行方

◆Ⅳ 戦国から偃武へ 戦国軍記・家伝・幸若舞曲・御伽草子
「戦国軍記」の範囲―細川政元殺害の記録を例に―●笹川祥生
 「後期軍記」の概要/細川政元殺害事件の記録/戦国軍記の範囲

家伝史料『結城軍記』諸本の相関関係―『小山記』『長沼日記』と対照して―●髙橋恵美子
 はじめに/『結城軍記』における結城合戦の描写/『小山記』について/所収記事の比較からみる『結城軍記』諸本の関係/おわりに

十七世紀初頭における幸若舞曲享受の一様相―梵舜の書写活動をめぐって―●小林健二
 はじめに/梵舜等が書写した幸若舞曲/梵舜本幸若舞曲の各写本の性格/梵舜本「含状」の場合/『舜旧記』に見える梵舜と幸若舞曲/むすび―梵舜の幸若舞曲書写から見えてくること―

物語草子の闘諍・合戦譚●大島由紀夫
 はじめに―軍記物語とお伽草子―/まつろわぬ者―悪党・山賊・盗賊―との合戦/お家騒動―「家」をめぐる闘諍―/寺社の被災―聖域への侵犯―/おわりに―物語が紡ぐ「乱世の記憶」―

  *  *  *
軍記物語年表(二)●加美甲多

 あとがき●松尾葦江
 執筆者紹介

著者略歴

編:松尾 葦江
1943(昭和18)年神奈川県生まれ。博士(文学)。
専門は日本中世文学、特に軍記物語。
主な著書:『平家物語論究』(明治書院、1985年)、『軍記物語論究』(若草書房、1996年)、『軍記物語原論』(笠間書院、2008年)、『文化現象としての源平盛衰記』(編著、笠間書院、2015年)、『ともに読む古典 中世文学編』(編著、笠間書院、2017年)など。
他著:坂井 孝一
創価大学教授
著書・論文:『源実朝 「東国の王権」を夢見た将軍』(講談社メチエ、2014年)、『承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱』(中公新書、2018年)、「中世前期の文化」(『岩波講座 日本歴史』第6巻中世1、2013年)など。
他著:小井土 守敏
大妻女子大学教授
著書・論文:『曽我物語』上~下(共編、新典社、2013~2015年)、「情報の形―『曽我物語』を例にして」(河野貴美子他篇『日本「文」学史』第2冊、勉誠出版、2017年)、「流布本で読む『曽我物語』」(『武蔵野文学』67号、2019年12月)など。

ISBN:9784909832245
出版社:花鳥社
判型:A5
ページ数:300ページ
価格:7000円(本体)
発行年月日:2020年05月
発売日:2020年06月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ