軍記物語講座 2
無常の鐘声 完結
平家物語
編著:松尾 葦江
他著:佐倉 由泰
他著:佐伯 真一
内容紹介
史実か否か、という以上にどう語られているか。
文学のみならず、歴史・芸術・言語等の周辺分野からのアプローチも交じえた、最新の研究成果を提示。この20年のうちに大きく変化してきた軍記物語研究の現在と、今後を見据えた文学本来の課題を照らしだす。
全4巻のシリーズ完結!
目次
まえがき●佐倉由泰
平家物語の軌跡●松尾葦江
一 成立年代に関する資料を見直す
二 成立後の展開をたどる
三 来たるべき平家物語論のために
『平家物語』古態論と延慶本●佐伯真一
一 古態論とは何か
二 古態論と延慶本
三 古態論と絶対年代
四 おわりに
延慶本平家物語の伝来と流布●久保勇
一 はじめに―現存延慶本をめぐって―
二 近現代の延慶本―応永本の流転と発見―
三 近世の延慶本―応永本の狩谷棭齋蔵を中心に―
四 中世の延慶本―応永年間紀州根来寺内での流布―
平家切から分かること―新出断簡紹介を通して 付長門切一覧―●平藤幸
一 はじめに
二 長門切研究の現在地と展望
三 新出長門切の紹介とその疑問点
四 おわりに
『源平盛衰記』無刊記整版の「版」を考える●高木浩明
一 はじめに
二 無刊記整版の「版」はいくつか
三 敦賀屋久兵衛奥付本
四 新出の万治二年林和泉掾板行本
五 瀬尾源兵衛奥付本
六 寛政八年茨城多左衛門方正刊本ほか
七 乱版
八 おわりに
混態─発生と展開─●櫻井陽子
一 はじめに
二 混態の発生
三 覚一本の場合―校合から混態へ―
四 延慶本の場合─改編の一手法としての混態─
五 他の軍記物語
六 おわりに
語り本系平家物語の成立―表現がえらばれたとき―●原田敦史
一 建礼門院関連記事から
二 延慶本は何を描いたか(一)
三 延慶本は何を描いたか(二)
四 語り本の世界
五 おわりに
後白河法皇と建礼門院の「鎮魂」―寺院における唱導から見る『平家物語』の「大原御幸」―●牧野淳司
一 はじめに
二 後白河法皇に近侍する唱導僧の立場
三 善知識としての後白河法皇
四 後白河法皇への説法
五 おわりに
九条兼実と崇徳院・高倉院・安徳天皇―徳政と鎮魂―●谷知子
一 安元の大火はなぜ起きたか
二 乱世到来―崇徳院の鎮魂か徳政か―
三 平家滅亡―安徳天皇鎮魂へ
四 兼実と高倉天皇
五 摂関家の役割と和歌、そして『平家物語』
『平家物語』と登蓮―数寄・聖・修験―●源健一郎
一 はじめに
二 登蓮の実像
三 〈登蓮〉伝承の「種」
四 〈登蓮〉伝承の展開と延慶本の〈登蓮〉
五 おわりに
長門本平家物語の成立と伝来環境●浜畑圭吾
一 はじめに
二 長門本の成立
三 長門本と大内氏文化圏
四 おわりに
平家語り―声による平家物語の解釈と表現―●鈴木孝庸
一 平曲の骨格
二 平曲一句一句のとらえ方
三 一句一句のまとまりと〈語り〉の基本―その一―
四 一句一句のまとまりと〈語り〉の基本―その二―
五 平曲・平家音楽の視覚的紹介(表示の工夫)
六 おわりに
修羅能以前の「平家の能」―〈経盛〉の再検討を通して―●山中玲子
一 はじめに
二 平家諸本との関係
三 世阿弥の修羅能と「古修羅」
四 「少将の能」と「常盛の能」
五 〈経盛〉の再検討
六 おわりに
平家物語絵研究の現在と今後―明暦二年版『平家物語』から考える―●出口久徳
一 平家物語絵研究の現在
二 明暦版制作の文化環境
三 明暦版の表現Ⅰ―移動場面をめぐって―
四 明暦版の表現Ⅱ―「めくる」行為(「展開」と「対比」)を中心に―
五 明暦版研究、平家物語絵研究の今後
『源平盛衰記』国内地名索引●伊藤悦子
平家物語諸本・伝本の分類
あとがき●松尾葦江
執筆者紹介