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軍記物語講座 1
武者の世が始まる
編:松尾 葦江
他著:志立 正知
他著:佐倉 由泰
内容紹介
文化は貴族の独占物ではなくなった—武者の世の輝きと危うさを見渡す。
文学のみならず、歴史・芸術・言語等の周辺分野からのアプローチも交えた、最新の研究成果を提示。この20年のうちに大きく変化してきた軍記物語研究の現在と、今後を見据えた文学本来の課題を照らしだす。
目次
まえがき●早川厚一
◆Ⅰ 東国の疾風 将門記・陸奥話記・後三年記
東国の武士たちと軍記●志立正知
歴史学における武士論の展開/河内源氏と東国―『陸奥話記』の虚構―/源義家と東国の武士たち/為義と義朝―東国武士の組織化―/「氏文」にみる武士の自己認識/問題の所在―歴史学と軍記研究―
『将門記』を拓く●佐倉由泰
『将門記』と「吏の漢学」/『将門記』の記述の成立のしくみ/『将門記』における在地の表現/『将門記』における秩序の表現/おわりに
『陸奥話記』冒頭考―『今昔物語集』を視座として―●蔦尾和宏
『陸奥話記』の諸本/『今昔物語集』の書承傾向/第二類本という存在
時代社会を映す鏡としての『後三年記』―王朝国家期の領土広域化現象―●野中哲照
はじめに/領土広域化現象と〈真衡東遷〉/領土広域化現象と〈遠方婚〉/『将門記』から『陸奥話記』を経て『後三年記』へ/領土広域化現象の萌芽/おわりに
◆Ⅱ 王都の合戦 保元物語・平治物語
悪左府頼長の近習たち―『台記』の記述に主拠して―●原水民樹
藤原成隆/源俊通・菅原登宣・藤原重綱/橘以長
半井本『保元物語』の山田小三郎是行譚を読む●早川厚一
半井本に見る、重複や類型あるいは同型描写の繰り返しについて/是行は、なぜ一人で為朝に挑みかかろうとしたのか/是行の内甲を狙った矢は、なぜ為朝の弓手の草摺に当たったと記されるのか/為朝はなぜ鞍の前輪と是行を射貫き、さらに尻輪で止まる矢を射たのか/おわりに
半井本『保元物語』源為朝関連話群と〈伝説〉の創出●阿部亮太
はじめに/問題の所在/為朝最期の脚色/落首の創作/為朝の謀叛という虚構/他作品における為朝と頼朝/おわりに
『保元物語』の諸本とその展開・物語の洗練ということ
―学習院大学図書館蔵九条家旧蔵本をめぐって―●清水由美子
はじめに/学習院大学図書館蔵九条家旧蔵本について/分巻の形と冒頭の言葉をめぐって/九条家本の改作と思われる記事の検討/今後の課題/おわりに
『平治物語』一類本諸本の関係について―源家後日譚を中心に―●小番達
はじめに/本文比較(一)―[松]の後出性―/本文比較(二)―四本の関係性―/本文比較(三)―[資]の本文変化―/おわりに
四類本『平治物語』の生まれた時代―〝室町ことば〟と〝室町ごころ〟―●谷口耕一
はじめに/四類本成立の時代―〝室町ことば〟をめぐって―/四類本の描き出した世界―お伽草子的世界への接近―/おわりに
『保元物語』『平治物語』における版本の挿絵の展開
―流布本本文と絵の照合から―●滝澤みか
はじめに/文字が示す世界と絵が見せる世界の違い/おわりに
消えた平家郎等●佐々木紀一
はじめに/民部大夫為長/八幡美豆資綱/草香党/和田平太/おわりに
◆Ⅲ 王に勝る果報 承久記
承久の乱と歴史叙述●長村祥知
はじめに/承久の乱の政治史的研究/僅少な同時代史料/『六代勝事記』/『承久記』諸本と近年の論点/おわりに
慈光寺本『承久記』の世界観―嘆きの不在―●大津雄一
王の敗北/めでたいこと/四劫と三千仏/『愚管抄』/『水鏡』/軍記物語/歴史の物語り方
『遠島御歌合』における後鳥羽院と旧臣たち
―出詠歌と歌合の意図をめぐって―●吉野朋美
はじめに/出詠者の閲歴/出詠歌と後鳥羽院の判詞/初学とのかかわりから見る構成・判詞/おわりに
* * *
軍記物語年表(一)●山本岳史
『保元物語』『平治物語』の代表的な諸本系統について
あとがき●松尾葦江
執筆者紹介