寺山修司の遺産
21世紀のいま読み直す
編著:伊藤 徹
編著:檜垣 立哉
他著:澤田 美恵子
内容紹介
寺山がこの世を去ってから40年──
社会状況は大きく変化してきたが、寺山が残したものは、いまもなお読み直され、多くの読者・観客を惹きつけている。
現代の問題意識と深くつながる、寺山の多岐にわたる活動に対して、思想、競馬、言語学、美術、デザイン、演劇、映像、政治をテーマに、各分野の筆者陣がそれぞれの問題意識で挑み、新たな魅力を発掘する画期的な論集。
【推 薦】 渡部泰明(国文学研究資料館館長)
そうか。いつまでもいかがわしさを失わないから、寺山修司は魅力的なのか。
目次
目次
はじめに
伊藤 徹
第1章|演劇Ⅰ
虚構が「真実」になるとき――密室劇《阿片戦争》
伊藤 徹
第1節 実験演劇としての密室劇
第2節 《阿片戦争》という出来事
第3節 虚構の「真実」と「時」
第2章|言 葉
居場所としての言葉――寺山修司の自分語と詩的表現
澤田美恵子
第1節 定型詩との出会い
第2節 「自分語」という戦術
第3節 詩的表現の時空間
インタビュー
寺山修司と演劇・詩・方言・競馬
佐々木英明
第3章|映 像
機械仕掛けの巫女殺し――「政治の季節」のテレビドキュメンタリーをめぐって
青山太郎
第1節 成長期にあった六〇年代のテレビと寺山修司
第2節 「政治の季節」に生まれ育ったテレビドキュメンタリー
第3節 秩序を破る記録映像の力能
第3節 機械仕掛けの巫女を解体する
第5節 お茶の間という神殿
第4章|政 治
寺山修司の「幸福」の政治学
荻野 雄
第1節 選挙と競馬と電子計算機
第2節 偶然の賜物としての幸福
第3節 幸福への賭けとしての政治的反抗
第4節 寺山修司と新左翼運動の諸局面
第5章|競 馬
寺山修司と競馬
檜垣立哉
第1節 寺山修司における競馬
第2節 寺山のエクリチュール――生とともにある競馬
第3節 寺山の言葉・言葉の場所
第6章|デザイン
初期の天井棧敷のポスターを読む――劇との関係を中心に
前川志織
第1節 混沌とした熱気をもつポスター群
第2節 初期の天井棧敷とポスター
第3節 劇の宣伝からの逸脱
第4節 大衆的図像の引用
コラム
あなたはいったい誰ですか?
広瀬有紀
第7章|演劇Ⅱ
小劇場運動と「肉体」――寺山修司をめぐる文化的野心とともに
若林雅哉
第1節 寺山修司を宙づりにしてみる
第2節 小劇場運動における肉体への回帰――芸(肉体)と演技(内容)の二極から
第3節 レッテル張りへの躊躇(1)――巨大劇団の忌避と〈異議申し立ての時代〉
第4節 レッテル張りへの躊躇(2)――「肉体」の覇権の諸相
第5節 あとから来た「小劇場運動」――蜷川幸雄による「歴史化」の戦略と文化的野心
第6節 事後の生
第8章|表 現
ナンセンスの時代と寺山修司
平芳幸浩
第1節 寺山修司と「無意味」
第2節 六〇年代前衛における表現の様態
第3節 無意味から意味へ
第4節 言語遊戯としてのハナモゲラ
第5節 寺山修司にとってのナンセンス
おわりに
檜垣立哉