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境界の文学

第二世界のカルトグラフィ

著:中村 隆之

紙版

内容紹介

第二世界、それは絶望で覆われたこの現実世界に、なお夢見ることを忘れない人々の不屈のヴィジョンだ。世界各地のさまざまな本や表現から、新たな生の場所を〈発見〉する。そのときどんな地図が浮かび上がるだろうか――。シャモワゾーやグリッサンらカリブ海の作品。レイシズムが蔓延するアメリカ文化。目取真俊や崎山多美らの沖縄の文学。そしてコレット・マニーのブルーズ……絶望にあらがう多彩な表現を手がかりにした旅の記録。定価2500円+悪税

目次

  0 第二世界は存在する
 
第I部 場所
 
  1 反復される川の記憶 
  2 カリブ海の移動と交流 
  3 アフリカの魂を探して 
  4 アメリカのニグロ・スピリチュアル
  5 ファトゥ・ディオムの薄紫色 
  6 レザルド川再訪 
  7 レイシズムのアメリカ 
  
第II部 境界

  1 絶対的暴力の牢獄 
  2 分からなさの向こう側を想像する 
  3 岩手県の幻冬小説 
  4 文明のなかの居心地悪さ 
  5 アパルトヘイト終焉期を撮る 
  6 テロルという戦場 
  7 ディストピア小説に映し出される近未来 
   
第III部 生

  1 ジャン・ベルナベ(一九四二―二〇一七) 
  2 パスカル・カザノヴァ(一九五九―二〇一八) 
  3 フランソワ・マトゥロン(一九五五―二〇二一) 
  4 ヤンボ・ウォロゲム(一九四〇―二〇一七) 
  5 東松照明(一九三〇―二〇一二) 
  6 ジャック・クルシル(一九三八―二〇二〇) 
  7 コレット・マニー(一九二六―一九九七) 
    
第IV部 交響

  1 アナキズムと詩的知恵 
  2 口頭伝承と神話的思考 
  3 フランス国立図書館と作家研究 
  4 ニューカレドニアの民族誌 
  5 震えとしての言葉 
  6 野生の思考と芸術 
  7 詩人たちの第二世界 

  あとがき 第二世界の地図作成のために

著者略歴

著:中村 隆之
1975年、東京都に生まれる。フランス語圏の文学、批評、翻訳。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在は、早稲田大学法学学術院教員。
おもな著書に、『魂の形式―コレット・マニー論』(カンパニー社、2021)、『野蛮の言説―差別と排除の精神史』(春陽堂書店、2020)、『エドゥアール・グリッサン―〈全‐世界〉のヴィジョン』(岩波現代新書、2016)、『カリブ‐世界論―植民地主義に抗う複数の場所と歴史』(人文書院、2013)など多数。
おもな訳書に、アラン・マバンク『アフリカ文学講義―植民地文学から世界‐文学へ』(共訳、みすず書房、2022)、『ダヴィッド・ジョップ詩集』(夜光社、2019)、エドゥアール・グリッサン『フォークナー、ミシシッピ』(インスクリプト、2012)など多数。

ISBN:9784907986919
出版社:共和国
判型:4-6変
ページ数:224ページ
価格:2500円(本体)
発行年月日:2022年08月
発売日:2022年08月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DSA