一八世紀 近代の臨界
ディドロとモーツァルト
著:鷲見 洋一
紙版
内容紹介
中世にも近代にも収まらない、歴史を超えた二つの創造、モーツァルトの音楽と『百科全書』。一八世紀に交差する二つの足跡をたどり、精密な読みをとおして創造的な跳躍の秘密に迫る。
一つは、時代を突き抜ける、哀しみの透明な調べにおいて、一つは、世界と量りあう、知の巨大な集積において……どちらも因果の物語や進歩の観念、つまり歴史叙述からこぼれ落ちる次元を開いてくれる。いま・ここに徹することで現れる異次元の眺望、音楽と論理の先端で、「世界図絵」を探る。
目次
序 章 「むすぶ」ことと「ほどく」こと
Ⅰ ディドロ読み歩き Ⅱ モーツァルトのいる風景
第一章 不在についての考察 第一章 文学に見る18世紀
第二章 ソフィー・ヴォラン書翰を読む 第二章 怪物的神童とパリ
第三章 ディドロの『ラ・カルリエール夫人』を読む 第三章 喪失と自由
第四章 ふたつの国内旅行 第四章 国王さまざま
第五章 『ラモーの甥』の昔と今 第五章 奇人と天才の話
第六章 『ラモーの甥』の末裔たち 終 章 「いたみ」と
「かなしみ」のトポス