九鬼周造と輪廻のメタフィジックス
著:伊藤 邦武
紙版
内容紹介
■ 「永遠のなかにまたたく短い人生、……形而上学のない哲学は寂しい」──日本の近代思想史に類例のない軌跡を残した詩人哲学者、周造とは何者か。
■ 「いき」と「偶然性」と「時間」の哲学、その到達点を示す「形而上学的時間論」を精密に解読し、豊かな弾性をもつ詩的ヴィジョンと、誠実にして強靱な思索力との秘密に迫る、著者渾身の書き下ろし。
■ 東方は、古代インドの聖典『バガヴァッド・ギーター』と初期仏教の経典『ミリンダ王の問い』、西方は、ベルクソンとハイデガーの哲学──この両者が交差する地点に、回帰する宇宙と輪廻の形而上学が構想される。それは、生への限りない愛惜とともに、九鬼が追い求めた「死を問題とする形而上学」にほかならなかった。
目次
序章 九鬼周造の回帰的時間論
第1章 「輪廻する時間」という挑戦 第5章 回帰する宇宙という詩
第2章 生の哲学と二〇世紀の時間論 第6章 ミリンダ王の問いと輪廻する意志
第3章 九鬼メタフィジックスの骨格 第7章 因果の法則と反復するイデア
第4章 さまざまな輪廻説 第8章 解脱への途