目次
まえがき
■第一部 アレクサンドル・ワノフスキー『火山と太陽』ほか
□火山と太陽──古事記神話の新解釈
女神イザナミ
津田左右吉らの論考を検討する/ 諸外国の大地の女神との比較/ 日本列島を産んだ火山の女神/ なぜ、イザナギ、イザナミは闘争したのか
スサノオの神
ヨミの国は火山の国か/ スサノオの涙と火山の涙/ 古事記と噴火現象を比較してみると/ 大地を鎮める祝詞
女神アマテラスの遺言の基礎
火山の神は善悪ふたつの顔をもつ/ スクナビコナの化学反応/ 水の神話、火の神話
主題の探究
創成神話と建国神話の類似構造/ 神武天皇を倒した「熊」は火山なのか/ 神話と国土の有機的統一/ 国譲り──大地を鎮めるタケミカヅチ/ サルタヒコ──天孫降臨を火山神話として読む/ 火山の叙事詩
古事記と聖書における創成神話
戦前期の異端史観──日本民族メソポタミア起源説/列島移住者の遙かな記憶
□運命の謎──古事記神話を研究した道程について
素晴らしい宇宙の祭典/ 火山島にて/ 幻影と大震災/ 古事記の迷宮/ 夢の自己分析
□大きな運命を担う人──地下運動時代のレーニンを語る
□浅間山の幻想
■第二部 『火山と太陽』を読む
「地球の時間、人間の時間」 野村律夫(島根大学教授)
「歴史学からみる火山神話」 保立道久(東京大学名誉教授)
■第三部 評伝ワノフスキー「火山と革命」
ロシアにて
歴史の舞台の登場人物として/ ロシア革命の幼年期/ 風景のなかの聖なる気配/ 革命家ワノフスキー/ レーニンへの批判と畏敬──欺瞞に満ちた現代のモーゼ
大正時代から戦前の日々
早稲田大学ロシア文学科/ 火山の神々──三原山、浅間山、富士山への旅/ 伊豆大島──プレートがつくった火山群島/ 夢と同じ物質から我々は作られている/ 関東大震災のあと、火山神話が語られはじめた/ 寺田寅彦の火山神話論/ 関東大震災を予言?/ ロシアの小泉八雲、グリゴーリエフ/ 浅間山のふもとにて──戦時下における強制移住
晩年の輝き
八十一歳のデビュー作/ 黙殺と賞賛/ 畏るべき九十三歳/ 挫折した革命家──北一輝とワノフスキー/ 大地の裂け目から出現する菩薩たち/ 世界の終わりと火山──「ヨハネ黙示録」/ 亡命ロシア人社会、最後の証言者/ 断絶の四半世紀/ 大いなる未知に囲まれて/ 火山の神の巡礼者
■第四部 火山と神話の現場からの報告
日向神話と火山
九州南部で史上最大の噴火が起きた/ 天孫降臨──火山を鎮める王/ 高千穂峰は縄文時代に出現した
出雲神話と火山
出雲でも起きた超巨大噴火/ 国引き神話の舞台裏──実は火山が多い島根県/ 地震を鎮める鹿島の神/ なぜ、日向と出雲が神話の舞台とされたのか/ 出雲から熊野火山へ
文献リスト
あとがき