出版書誌データベース

【2025年5月現在、新本が定価(3,000円+税)で購入可能】

最もロンドンを感じさせる書体、“ジョンストン・サンズ”。その書体設計者であるエドワード・ジョンストンの果たした役割、成果の詳細を紹介する。
　エドワード・ジョンストン（Edward Johnston）がロンドン交通局のために1916年に制作したジョンストン・サンズ（Johnston Sans）は、「最初のヒューマニスト・サンセリフ」と呼ばれるほど、後世に大きな影響を与えた。また、その書体シリーズとロゴタイプは、CI（コーポレート・アイデンティティ）デザインの始まりとも言われている。
　著名なカリグラファでありタイポグラファでもあったジョンストンの人となりや功績、書体設計の過程を丹念に調査し、ジョンストン・サンズからブルズアイ（Bullseye：ロンドン地下鉄の標的マーク）、さらには日本人デザイナー・河野英一氏がリデザインしたニュー・ジョンストン書体（New Johnston）や近年のデジタル・フォントまでを解説。

推薦の言葉　河野英一

謝辞
はじめに
エドワード・ジョンストン
プライベート・プ㆑スと公共書体
バス路線用オムニバス書体
ジョンストン・ボールド書体
カリグラフィの意匠
ブルズアイ
ニュー・ジョンストン書体
エピローグ
ジョンストンの明細書
索引

ロンドンの佇まい ──ジョンストン地下鉄書体──　後藤吉郎

著：ジャスティン・ハウズ
ジャスティン・ハウズ
1963年イギリス・バーミンガム近郊生まれ。早くからカリグラフィに興味を持ち、17歳でエドワード・ジョンストンの娘プリシラと文通を始める。オックスフォード大学卒業後、工芸研究センター（Crafts Study Centre）のジョンストン・コレクションを整理し目録を作成、同時に『Lessons in Formal Writing』を共編した。1995年にキャズロン書体の研究を開始し、1998年にはオリジナル金属活字を忠実に再現したデジタル・キャズロン「ITC Founder’s Caslon」を発表。廃棄された手引き印刷機を収集・復元する一方で、セント・ブライド印刷図書館の存続に腐心し、また、タイプ・ミュージアムの発足にも尽力した。ベルギーのプランタン゠モレトゥス博物館において16世紀の鋳型で活字を鋳造する予定だったが、惜しくも2005年2月に心臓発作のため死去。

訳：後藤　吉郎
後藤 吉郎（ごとう よしろう）
1948年岐阜県生まれ。武蔵野美術大学卒業後、London College of Printingへ留学。1982年Total Design（オランダ）、British Railways Board（イギリス）勤務。1991–93年（財）日本規格協会、書体分類調査委員会委員長。現在、武蔵野美術大学視覚デザイン学科教授。