明治維新を考える
著:三谷 博
紙版
内容紹介
明治維新は、日本国内だけでなくアジア・太平洋地域の国際秩序を一変させた。しかし、それがどんな変革であったのかは実は今でもよく分かっていない。農民・町人は武士の支配に異議を唱えなかったし、欧米からの開国要求も国内体制の激変を説明できない。そして、維新を主導した武士階級自体がその維新によって消滅するという「階級の自殺」がなぜ起こったのか・・・。原因らしい原因が見あたらないにもかかわらず、世界的にも稀な巨大変動が生じたそのメカニズムを、複雑系という新しい理論を応用して理解することを提唱し、近代化とナショナリズムについても論じていく。
目次
序章 明治維新の謎
—社会的激変の普遍的理解を求めて—
I 維新のなかの普遍
一「西洋国際体系」を準備した「鎖国」
二 維新における「変化」をどう「鳥瞰」するか
—「複雑系」研究をヒントとして—
三 「王政」と「公議」
—横井小楠と大久保利通—
II ナショナリズムとのつきあい方
四 「我ら」と「他者」
—「国民」境界の生成ダイナミックス—
五 ナショナリズムと歴史認識
—二〇〇一年—
六 二〇世紀前半の記憶への対処
—二〇〇五年—
III 維新史家たち
七 マリウス・B・ジャンセン
—日本の発見と比較研究—
八 遠山茂樹
—『明治維新』にみる戦後日本史学—
九 司馬遼太郎の国民史
—昭和と維新—
終章 「近代化」再考
—「東アジア的近世」論への応答—