I 一八〇〇
学者悲劇──舞台上の前狂言
ゲーテ『ファウスト』における書物の扱い/解釈学としての聖書翻訳/文学と哲学/教育国家──聖書に代わるものとして/文学、悪魔との契約、そして国家公務
母の口
一八〇〇年前後における読み方の学習
母親用初級読本/汎愛主義的識字化教育/シュテファーニの音韻読法/標準語としてのドイツ語/ヘルダーの言語人間学と吐息「ああ」/一八〇〇年の言語と音楽の諸要素/言語の始まりとしての初級読本/母性的識字化教育の回想可能性
母性と官僚制
ペスタロッツィによる母親のための教育学/国家のための母性/教師の官吏化/高等教育機関の二つの性/F・シュレーゲル─哲学と女性について
言語の通信路
翻訳の不─可能性
一般的等価物としての意味/ノヴァーリスにおける、翻訳としての科学と文学/読者アントーン・ライザー
黄金の壼
言語の始まりとしての口述による秘義伝授/父親による書き方授業改革/ロマン主義の始原の書字としての自然/官僚神話と図書館幻想/識字教育の愛/無意識の詩人と狂気の官吏/一八〇〇年前後の詩人官吏の二重生活
作者たち、読者たち、作者たち
書くことの陶酔と固定観念/感覚的メディアの代理としての文学/歴史的に過去に属するテクストのシステム統合/作者という機能の定立
乾杯の辞
女性読者という機能
一八〇〇年前後の女性作家たちの匿名性/ベッティーナ・ブレンターノと原-作者ゲーテ/女性たちの詩人としての、ゲーテのタッソー/詩的な愛の告白/ホフマンの、ヒステリー性の女性読者/作者の増殖と読書の規制/女性の読書中毒/文学読本
……そして神の国
ニートハマーのゲーテ読本/高等学校制度におけるドイツ文学/哲学と大学改革/競合する詩人と哲学者/詩的精神の現象学/話すこと、読むこと、書くことに関するヘーゲル/哲学者、詩人、女性
II 一九〇〇
ニーチェ─ここに悲劇が始まる
ニーチェによる古典主義の決算/自動詞的な書く行為の原光景/一九〇〇年前後の言葉-作り屋/三つのメディア──言語、音楽そして映画/ニーチェのシニフィアンの論理学/盲目とタイプライター/口述者にして独裁者たるニーチェと彼の女性秘書たち/女性の耳のための哲学
偉大なラルラ
精神物理学
エビングハウスの記憶実験/一九〇〇年前後の言語と音楽の要素/モルゲンシュテルンのランダム詩/文化技術と失語症研究/失語症者の文学/実験における聴取と押韻/瞬間露出器を用いた読書研究/ガートルード・スタインの実験における自動書記
技術的メディア
蓄音技術の起源/蓄音機詩と証拠保全/蓄音機を使った実験での思考奔逸/ベンとツィーエンにおける思考奔逸/ベンの『旅行』、言葉から映画館へ/技術的メディアと娯楽文学/自足的メディアとしての高尚文学/文字の精神物理学/モルゲンシュテルンのタイポグラフィー詩/シュテファン・ゲオルゲ書体
判じ絵
翻訳不可能性とメディア変換
ゲオルゲの秘密の言葉の宝庫/個々のメディアの分析〔=分解〕と組み立て
精神分析とその裏面
フロイトの夢解釈技法/精神分析vs映画/フロイトの精神物理学的諸前提/寝椅子の上の文字/蓄音機かつ作家としてのフロイト/文学テクストの精神分析/精神病者のテクストの精神分析/シュレーバー、フロイト、フレクスィヒ/シュレーバーに関する「書き取りシステム」/教養の終焉と、無意味の快楽
狂気のシミュラークル
文学と精神医学/競合関係にある作家と精神分析/脳内経路のテクスト化/リルケの『始原のノイズ』における頭蓋骨蓄音技術/マルテ・ラウリッツ・ブリッゲ/書く文盲者たち/リアルタイム分析と想像を絶すること/芸術教育運動における自由作文/精神の官吏たちに代わる偶然の書き手たち/偶然の読者のための偶然の記録保存器/作者の匿名…/歴史的に過去の女性の書き手たちのシステム統合
クィーンの捨て駒
『未来のイヴ/精神分析と女性たち/女性とタイプライター/ストーカーの『ドラキュラ』──タイプライターの吸血鬼小説/高尚文学と娯楽文学の中でのタイピストたち/カフカの恋愛──技術的メディア/現時点での技術水準
あとがき
第三版あとがき
訳注
訳者解題
文献目録
人物目録